プーレロティ


これから書いてあることはかなりマニアックな内容です。

料理人目線のマニアックに興味があるなら読み進めてください。


それでは始めます。

料理人なら一度は誰しもが作る料理があります。

それがプーレロティ。(ローストチキン)

 

フランスではこのプーレロティがキチンと焼けてローストできれば
料理人として一人前と言われるぐらい基本中の基本の料理です。

 

このブログをご覧の方でプーレロティって何?
と思う方がいると思いますので
詳しく説明していきます。

 

プーレロティ通称ローストチキンです。

 

ロティという言葉フランス語に直すとrôtiと書きます。

 

調理方法の事です。
ロティ=ロースト

 

そして耳慣れない言葉である”プーレ”
この言葉は鶏肉の事です。

 

フランスの鶏の総称

フランスでは鶏肉を呼ぶ言葉が多種多様にあります。

プーレ         :poulet      :オスの若鶏
プーレット:poulette :メスの若鶏
コクレ        :coquelet  :オスの雛鶏
プーサン    :poussin   :メスの雛鳥
プーラルド:poularde :独自の方法で太らせたメスの肥育鶏
シャポン    :chapon    :去勢鶏 去勢したオスの肥育鶏
プール        :poule       :卵を産んだ後の廃鶏 生後1年から2年くらいのメス鶏
コック        :coq           :オスの成鳥

これだけ呼び方があります。

 

フランス人は鶏肉を本当によく食べます。

食べる上でオスとメスの肉質の違いや脂の乗り方などで
これだけ区分けをしているんですよね。

 

ちなみに現地のフランス人も
そこまで知りませんのでご安心を。笑

 

プーレロティ

本題に戻りますがプーレロティには
様々なテクニックが実は盛り込まれています。

 

あ!よくフレンチやビストロで
出てくるお皿で提供されている料理は
厳密にはプーレロティではない場合が多いです。

 

プーレロティはその言葉の通り
鶏1羽丸ごとローストにします。

 

一羽でなく半羽にしてしまうとローストではなく
違う調理方法になってしまいます。

 

例えば
鶏の胸肉を骨のない状態で焼く場合

とてもローストなんてできないですよね。

 

この場合はローストではなく
ソテーやポワレと言ってフライパンで
仕上げた料理になってしまいます。

この辺りがフレンチの難しさかもしれないですよね。

この難しさがフランスの料理人が
1人前になる試験にも出てくる所以かもしれませんね。

 

では作り方を説明していきます。

ステップ1

鶏肉に味をつけます。

塩、胡椒で味をつけますが
鶏の中にも味をつけるために
始めに内臓があった所に味をつけます。

内臓のあった場所に塩コショウをしないと
内部から味が染み込まないのでここではしっかりとしてください。

 

ステップ2

鶏肉をタコ糸などで縛る。

この作業をフランス語でブリデといいます。
ブリデというフランス語は絡げるという意味です。

文字通り鶏肉にタコ糸を絡げて縛っていくという作業です。

ここの作業、めんどくさいんですが
実は一番大事な作業だったりします。
ここで気を付けなければいけないことがあります。

 

胸肉を張り出すように縛る。
という事です。

どうして胸肉なのかと、私たち日本人は疑問に思うでしょう。

世界的に見て、もも肉が好きなのは日本人だけです。
他の国、アメリカ、フランス、イギリスなどでは
胸肉の方が好まれます。

 

理由は、胸肉の方が肉が多く火を入れると美味しいからです。

 

詳しくは別立てで話そうかなと思いますので
ご要望があればメッセージにも入れてください。

 

ステップ3

全体に塩コショウをする。
アメリカなどではソミュールと云って
塩水にハーブやスパイスに香りをつけた液体に漬け込んでから
焼き上げる方法もあります。

 

この方法で味をつけてローストすれば
肉質はしっとりと仕上がり中まで味が染み込んで
味わいはより強くなります。

 

鶏肉や七面鳥など主に白身の鶏類に用いる手法です。

 

フランスはそのまま塩コショウするレストランが多いようです。

塩をするときにちょっとしたコツがあります。

 

普通に塩コショウをすると
鶏の皮が塩コショウの粒子を弾いてしまって
味が付きづらくなってしまうのを防ぐコツです。

想像つきますか?
答えは
擦り込むです。

塩コショウを何度か上から振り、
手で中に塩を擦り込んでいきます。
こうすることによって仕上がりの皮はパリッ
中身の肉には味がほんのりとつきます。

このまましばらく置いておきます。

 

それから火入れに入っていきます。
どうですか?

ローストチキンは一見簡単なように見えますが
実は大変奥の深い料理なんです。

 

次は火入れ編となります。