恵比寿の赤身肉専門
クニオミです、
鹿肉をメニューにいれてるお店は
数年で本当に増えました。
今まで日本には鹿が沢山いたのに
牛肉に“肉”の座を取られてお肉として
見向きもされませんでした。
でも、近年。
全国的に鹿の異常発生を契機に
鹿肉を食べようとする動きが加速してます。
鹿肉の最大の特徴は真赤な赤身肉です。
赤身肉を余り食べることがなかった
僕たち日本人にとっては鹿肉自体
パッとしない肉の印象がありました。
先日、当店で鹿肉に大量の赤ワイン
を使った煮込み料理を作りました。
とっても評判もよく、
『赤身肉の煮込みってこんなに美味しんだ』
という喜びの声も貰っています。
そこでこのページでは鹿肉の赤身肉はステーキだけ
でなく、赤ワインを合わせた煮込み料理もいいんだ
ということを説明することにしました。
パッとしない印象の鹿肉の赤身に対する
偏見が覆ると思います。
楽しみに最後までお読みください。
鹿肉の赤身は美味しくない
あなたは鹿の赤身肉を美味しいと
思いますか?
このように質問をすると
「分からない」
とか
「美味しいんだけど想像と違う」
という人は多いです。
僕の個人的な話をすると鹿肉って
調理の仕方や素材次第で
メッチャ美味しくなる肉だと
思ってます。
でも、多くの人は本当に美味しい
と思われる鹿肉との出会いがないから
「鹿肉は赤身で固いし肉は臭い」
こう思われて、しまいには
『鹿肉って美味しくないよね』
『肉は固いし匂いも好きじゃない』
こんな声を耳にするたびに
残念に思います。
よく話を聞くと納得です。
『あ〜〜それじゃ、鹿肉嫌いになるよな』
と思います。
何がダメなのか事項で詳しく
説明しますね。
ステーキに適した部位
鹿肉と言っても部位によって
味や肉の硬さが違います。
例えば
鹿ロース部分は“ステーキ”
にすると美味しい部位です。
でも、同じ鹿でも前足や首肉を
ステーキとして食べようとしても
肉がカタすぎて食べることができません。
もし、ステーキとして鹿肉を食べるなら
必ずステーキとして適した部位を
注文すべきなんです。
お店によっては鹿肉を独自で
熟成してます。
熟成が僕たちにとっての
魔法のテクニックです。
通常だと固くてステーキとしては
食べれない部位も熟成肉にすると
食べることができてしまうんです。
ただ。
熟成の技術は「専門の知識」や
場所や設備も必要なので誰でも
手軽にできるようなものじゃ
ないんですよ。
それを知らない強引なヤリ方で行う
知識と経験が足らない料理人が
固い部位をあえてステーキとして
提供してます。
だから
『鹿肉は美味しくない』
と思われる原因となってしまいます。
確かに熟成をすれば固い部位の肉も
柔らかくなります。
でもそれを活かす腕と知見がなければ
ただの美味しくない肉になってしまいます。
しかも、熟成が進むと強烈な匂いも
出てきます。
個人的にはステーキに適した部位の
赤身肉ステーキが最高だと思ってます。
あなたはどう思われるでしょうか。
鹿肉の欠点は脂
鹿肉を知る上で大事なことは
鹿肉の脂です。
鹿肉は同じ4本足の動物である
イノシシや牛、豚、子羊などと
比べると脂の融点が高いです。
『鹿の脂が美味しい!』
と聞くことありませんか?
僕も初めは鹿の脂(エゾシカ)は
甘くて美味しいと思ってました。
でも、いまは脂部分は取り除くように
して調理します。
理由は簡単です。
脂が口の中に残るからです。
鹿肉の赤身の味は濃く旨味もあり
極上です。
しかし、この脂が邪魔して鹿本来の
美味しさを残ってしまっていると
思えてならないのです。
なので、あえて鹿肉の欠点として
話しました。
僕のオススメは
鹿の脂は食用ではなくロウソク
の材料に使うといいです。
実は前に。
エゾシカを扱っていました。
そのとき捌いた後の脂が沢山
残ったのでロウソクを作ったことが
あります。
よく燃えるし純度100%で最高のロウソク
になりましたよ。
香りが鹿臭いので何か香料をいれると
いいかもしれません。苦笑
まぁ、機会があればチャレンジしてください。
鹿肉がパッとしないのは料理人の腕不足
ここまで鹿肉の事を説明してきました。
頭の良いあなたは既に気づいていると
思います。
鹿肉の人気がパッとしないのは
「料理人や調理をする人の腕が不足している」
からだと思ってます。
なぜ、腕が足らないかというと。
鹿肉と牛肉を同じように考えていたり
調理方法も同じでいいんだ…と
単純に考えているからです。
考えてみてください。
同じ赤身の肉でも牛肉は家畜です。
飼いならされてる牛と日本の山々を
たくましく駆け巡る鹿と同じな訳ない
ですよね。
それにあなたが普段食べている牛肉。
実は品種改良を繰り返しています。
食べやすいように改良された肉なんですよ。
つまり。
和牛の霜降り肉なんて自然界にない脂を
人工的な改良を重ねて作り上げた肉なんです。
それと鹿肉は見た目は赤身かもしれません。
でも、中身は全く違いますよね。
鹿肉を多く消費してもらおうと
地方自治体は必死になって
プロモーションしてます。
鹿肉を食料として可能性を
広げようとするのは素晴らしいです。
僕もなにかお手伝いできればいい
と思ってます。
しかし。
鹿肉を消費して貰おうとして牛肉と
同じような紹介をするから、逆に
「美味しくない」と思われてしまうんです。
前述しましたが鹿肉と牛肉の共通点は
4本足の動物、肉質が赤身
そのくらいしかないんですよ。
間違ってもあなたは鹿肉を牛肉と
混同しないほうがいいと思います。
赤身肉は火入れが難しい
牛肉と鹿肉の共通点は赤身といいましたが
牛肉の赤身肉、例えば赤牛を例に出すと。
赤牛の身は見た目は赤身肉なんです。
よく目を凝らしてみると赤身の中に
細かい脂が入っています。
加熱すると赤身の中にある脂が溶け出て
肉を柔かくします。
しかし、
鹿肉の赤身は脂は一切入ってません。
厳しい自然を生き抜いているので
当り前ですよね。
当然、シカ赤身肉の火入れは
赤牛のような肉と比べると
高度なテクニックが必要です。
和牛の赤身肉も火入れは難しいですが
鹿肉はもっと火入れが難しいんですよ。
少しでも火入れを間違えてしまったり
焼き方に失敗すると肉がパサパサになったり
固くなったゴムのようになります。
そうなると、とても食べれたもんじゃ
ないです。
鹿肉がパッとしない理由の一つが
火入れの難しさです。
素晴らしくバッチリ火入れをされた
鹿肉と赤ワインの組み合わせは
最高に美味しいです。
鹿肉の赤身肉を食べるなら赤ワインを使うべき3つの理由
ここまで色々な角度で鹿肉について
解説してきました。
ここからは鹿肉の赤身を食べるなら
赤ワインを料理に使ったり
合わせたほうがいい理由を
3つ挙げてみました。
どうして赤身肉と赤ワインの組み合わせが
良いといわれるのか参考にしてください。
赤ワインは肉を超絶に柔らかくする
赤身肉と赤ワイン…
最高の組み合わせですよね。
でも知ってましたか?
鹿肉を調理するときに1時間ほど
赤ワインに漬けておくと肉が
美味しくなり柔らかくなるってこと‥
赤ワインには肉を柔らかくする働きが
あります。
もし、あなたの手元に鹿肉があるなら
試しに赤ワインに付け込んでから
焼いてみてください。
生の状態より柔らかくなっている筈です。
一節によると赤身肉と赤ワインを
合わせて食べると消化も助けると
言われてます。
この話は本当かどうかは別として
赤ワインは肉を柔らかくする働きがある
と知っておいてください。
肉であれば同じ効果が得られます。
ひき肉でもオッケーということですよ。
味が濃い鹿の赤身には強めの赤ワイン
ワイン好きのあなたは濃い目の赤ワイン
を合わせて食事を頼む時。
何のお肉を選んでいいのか
迷われることってありませんか?
間違っても脂ギタギタの和牛は
選ばないでください。
コクがあって濃いめの赤ワインに合わすなら
鹿肉は最高です。
コレを超える組み合わせは
存在しないじゃないか、というくらい
至高の組み合わせです。
理由は。
赤ワイン自体も香りやコクがあるから
それに合わせる肉も負けないように
しなければなりません。
ちなみにジビエの本場フランスでは
鹿肉料理に必ず合わせる赤ワインが
あります。
フランスコート・デュ・ローヌ地方で
とれる“エルミタージュ”という
赤ワインです。
エルミタージュという赤ワインと鹿肉は
最高の組み合わせと世界中のグルメが
絶賛してます。
ソースも決まってます。
ソース グランヴヌール
というソースです。
シカのダシをベースに赤ワイン
黒胡椒などを効かせた味わい深い
ソースです。
少し話が逸れますが
エルミタージュの話が出ると
“クローズ・エルミタージュ”が出てきます。
鹿肉と合わないことはないですが
エルミタージュには到底かなわないです。
これは個人差があると思いますが
鹿肉によく合う赤ワインの産地は
ボルドーやコート・デュ・ローヌなどの
地域でもオッケーです。
臭みを赤ワインで消し去りコクをプラス
赤ワインと鹿肉の組み合わせは
最高という話をしてますが
臭みを消す役割もあるんです。
例えば
鹿肉の獣肉臭さが気になっているなら
赤ワインに一晩漬けてみてください。
驚くほど特有の匂いが消えています。
この後で説明しますが、
鹿肉の煮込みは鹿肉の獣臭さを適度に
緩和して赤ワインのコクと旨味をプラス
してます。
煮込み料理で使う肉の中でも
最高に美味しいのは鹿肉です。
鹿肉がマズイと思う前に煮込み料理を食そう
鹿肉の煮込み料理を食べたことは
ありますか?
もしないなら食べてみてください。
・・といっても、煮込み料理は作るのに
手間ヒマがかかります。
そのため最近では飲食店のメニュー
から消えています。
残念です。美味しいのに。
当店では時期になるとメニューに
載せることもあります。
でも常にあるわけではありません。
見た目はシンプルにみえますが
裏では鹿肉を美味しくするために
細かいテクニックを駆使してます。
上手に煮込まれている鹿肉は
ナイフを入れるとホロホロって
崩れるくらいの柔らかさになります。
日本で食べる煮込み料理は脂身が
多く混ざっている料理が多いです。
本場ヨーロッパでは煮込みといえば
「赤身肉の煮込み」のことを指してます。
赤身肉を煮込むと肉の繊維のなかの
ゼラチン質がソースに適度に絡んでくるので
ヤミつきになる美味さです。
極上の“鹿肉の煮込み”を食べたら
マズイとはとても言えないと思います。
今の流行りは、焼きっぱなしの
肉料理が脚光を浴びています。
でも、本当はこういう料理こそ
称賛をすべきではないか‥と
僕は個人的には思います。
フランスでは鹿肉はご馳走
少しフランスの話をします。
フランスではジビエの時期になると
鹿肉がレストランのメニューの
一番目立つ場所にデカデカと載ります。
鹿がメニューに載ると
『あ〜〜本格的なジビエの季節だな』
と感じます。
こんなことをよく聞かれます。
『フランスでは日常的に鹿肉を食べるのか?』
食べないことも無いですが鹿肉が
食卓に出てきたらかなりのご馳走です。
フランス人と食卓を囲むと
ニヤニヤしながら食べてます。
鹿肉に代表するジビエ料理は元々
王族だけが許される食べ物だった
歴史があります。
もちろん、地方には沢山ジビエは
いますので現地では食べられてます。
でも、王族のような華やかな食事では
なかったようです。
日本のほうが手軽に鹿肉を
食べられるようになったと思います。
ま〜〜〜〜
専門店以外ではパッとしませんけどね。
ジビエは煮込み料理が王道だった
ジビエに対して大きな誤解をしている人
がいます。
ジビエ料理とはローストしたり
ステーキにして食べるモノと
思っている人は多いです。
そんな料理もありますが
ジビエ料理は煮込み料理の方が
断然多いんですよ。
想像してほしいのですが…。
肉に脂身が少なく味わいも濃い。
火を通すと固くなるジビエ肉を
ワザワザローストにして食べたほうが
美味しいと思うでしょうか?
そう…。
煮込み料理にして固い肉を
柔らかくしたほうが美味しくジビエを
食べることができますよね。
もしくはひき肉などのミンチにしないと
肉が固く脂もないので食べづらいんです。
だから、ジビエ料理の王道は
煮込み料理といってもいいでしょう。
鹿肉の赤ワイン煮込みの作り方を
別ページで公開しています。
https://nikuebisu.com/archives/2779