あなたはミートソースと聞いて、
どのような料理を思い浮かべるでしょうか?
肉が少しだけ入っていて
デミグラスソースのようなミートソース。
イタリア本場仕込みのトマトが
たっぷりのミートソース。
それとも、肉だけがたっぷり入っている
贅沢なミートソース。
さまざまなお店で食事をすると
もっと他にも個性豊かなミートソースがあること
に気がつきます。
それだけとても奥が深い料理ということ
だと思います。
僕が料理業界に入り2年目くらいに
厳しい先輩に教えてもらった料理が
ミートソースでした。
当時はミートソースを手作りしている
お店が多く。
僕が教わった料理は味付けをした
焼き上げる前のハンバーグ肉をベースに
刻んだ野菜とトマトをたっぷり入れて
煮込んだソースでした。
1回の仕込みで手間ヒマをかけて
作り上げたハンバーグを、何個も潰して
ジックリと煮込んだミートソースは
とても味わい深く、
「古き良き懐かしい」昭和の味がしました。
いまはイタリアからの流れのボロネーゼパスタ
が主流になっているので、当時、提供していた
味付けのようなミートソースは見ることは
殆どありません。
そのような中、いまホットな食材の
“赤身肉”だけで仕上げた
ミートソースはどうなのか、
を検証したいと思います。
このページでは
「赤身肉100%を使用したミートソースの作り方」
を説明をします。
希少価値が高い和牛赤身肉を贅沢に使用
通常のミートソース(ボロネーゼ)で
使用するお肉の牛肉は、外国産牛肉の脂や
筋などの部分をすべてごちゃ混ぜにして、
ミンチにしています。
黒毛和牛を同じようにミンチにしたら
火にかけた途端、溶けて肉が
無くなってしまいます。
しかし、今回は同じ和牛でも
赤身が強い和牛赤身肉を使用します。
熊本県産の赤毛和牛(あか牛)や
岩手県産の短角牛です。
牛ならばどこの部位を用いても
ミートソースにできるのかといえば
できないこともないですが
部位によっては美味しく
仕上がらない部位があります。
例えば、柔らかい部位
つまりステーキに使用できる部位
(サーロイン、ヒレなど)は、
あまりミートソースには適しません。
なぜなら、ミートソース(ボロネーゼ)
はソースと名前がついていますが
列記とした材料を長時間煮込みながら
仕上げていく煮込み料理だからです。
試しにミートソースと同じような材料で
肉だけ肉団子にして煮込んでみて
ください。
きっと立派なミートボールに
なっていると思います。
これからご紹介する料理に使う部位は
“モモ肉”です。
モモ肉の大きな特徴は適度に脂身が
ありながら赤身が強く味がしっかりしている
ことです。
この部位は赤身が強いのでステーキとしても
美味しく食べることもできるし
ミートソースなどの煮込み料理などに
調理しても美味しくいただくことができます。
後述しますが
ミートソースを作る上で肉の挽き方はとても大事です。
ご紹介するミートソースは赤身肉の旨さを
引き出したいので極粗挽きにしています。
肉の挽き方しだいで
全く味が変わるので注意が必要です。
それでは作り方です。
赤身肉100%ミートソースの材料を準備
使う材料は玉ねぎ、人参、セロリ、ニンニク、
ホールトマト(水煮)またはダイストマト、
赤ワイン、フォンドボー、ローリエ、タイムなど
のハーブ、あか牛や短角牛の挽肉です。
1)野菜類はすべて微塵切りにします。

ここで余りにも細かく野菜を切りすぎてしまうと
仕上がりのソースがドロドロになってしまいます。
肉の挽き具合にもよりますが
今回は肉々しいミートソースに仕上げたいので
荒めのみじん切りにしておきます。
みじん切りにする時に気をつけて
ほしいことがあります。
野菜ごとに微塵切りにしてください。
フードプロセッサーなどを用いれば
比較的容易にできます。
2)赤身肉をミンチにしておく
和牛赤身肉の美味しさを引き立たせる
ソースにしたいので極粗挽きのミンチを2度挽き
にしています。
こうすることで、赤身肉が荒くなりすぎるのを防ぎ
適度な食感が残るソースにすることができます。
ミートソースに合わせる麺は細めのロングパスタは
使わず太目の麺です。
例えばタリアテッレやフェットチーネなどの麺に
絡めて食べたほうが良いと考えたので肉の挽き方は
粗挽きのほうが美味しさが引き立ちます。
もし、あなたが
「細めのパスタに合うミートソースにしたい」と
考えているならば、できるだけ肉は細挽きにして
野菜も細かく切り刻んで滑らかな仕上がりの
ミートソースにしたほうがいいでしょう。
細めのパスタの麺にあわせるソースが
粒子が荒いと麺に絡まないだけではなく
食べたときの食感も悪くなります。
肉の挽き方は十分注意が必要といえます。
3)浅い底の鍋を用意して火を入れる
ミートソースが煮込みだからといって
深い鍋は使わないほうが良いでしょう。
なぜなら、ミートソースは様々な材料をいれて
煮込むますが、ソースにするため水分を蒸発させて
ミートソースとして食べることができる
味の濃さやコクが必要だからです。
もし、同じだけの量を作るとき
深い鍋を使ってしまうと野菜に火が入るまでに
時間がかかり、水分を蒸発させるために
常に火力を全開にして火傷するような
熱い思いをしなければなりません。
さらに、味わいも変わってきます。
深鍋で長時間煮込み過ぎることで、
肉の旨味が全てソースにでてしまい
肉を食べた時に味気ない肉の味と
なってしまいます。
このような理由からミートソースを作るときは
浅鍋を使うようにしましょう。
野菜に火をいれていきますが
ここで注意点があります。
ニンニクから炒めてはなりません。
ニンニクを切り刻み先に火にかけてから
他の野菜を投入して炒めようとしても
さきに鍋に入れたニンニクだけが焦げて
しまうからです。
焦げたニンニクほど不味いものはありません。
イタリアやフランス、スペインなどの国
ではニンニクをよく使いますが
決して焦がして使用することはしません。
もし少しでも焦げたニンニクが料理に
入ってしまえば、その料理はすべて
焦げたニンニクの香りだけになってしまう
からです。
なので、炒め方の正解は
「玉ねぎとセロリから炒める」です。
十分に炒まったら人参をいれ
最後にニンニクを加えてジックリ炒めましょう。
この時、野菜の炒め方が足らないと
野菜の旨味や甘さがでなくなり
物足りないソースになってしまいます。
4)赤身肉をついに投入!
野菜の旨味が十分にでたら
ここで初めて100%赤身肉を入れて炒めます。
赤身肉を入れる量にもよりますが
火にかけると肉汁がでてきます。
それも大事な旨味ですから、全てジックリと炒めてください。
鍋底に少し肉の旨味かくっついたら
十分炒めたサインです。
5)ワインを注いで煮詰める
使用するワインは赤ワインです。
赤ワインを加えて材料と一緒に煮詰めます。
ワインはタンニンを少し感じるタイプのほうが望ましいです。
(このワインはマルベック種を使用しています)
タンニン分は煮詰まると旨味に変わり
できあがりのソースに深みをもたらしてくれます。
なければ、赤ワインであればよいでしょう。
6)煮詰めたらフォンドボーを加えます。
フォンドボーが入ったソースと
入っていないソースでは天と地ほどの味の差が
出てしまうので、市販の缶詰タイプでもよいので
ぜひ加えたいところです。
7)トマトを加える
ここで初めてトマトの水煮を加えます。
ホールトマトを使用する場合は、
種は取るようにしましょう。
種がある状態で煮込んでしまうと
酸味が際立ちます。
酸味が味の邪魔になるので忘れないように
種は取り除いてください。
ダイストマトの場合は種が取り除いてある
タイプを使用すると良いでしょう。
もし、種入のダイストマトしかなければ
ザルなどで裏ごしをすれば簡単に種を
除くことができます。
その際、種をすり潰さないようにしてくださいね。
トマトの量が多ければ多いほど
トマトが全面に出てくるソースになります。
夏場など爽やかに仕上げたいければ
トマトの量は多いほうがいいかもしれません。
しかし、ワインと一緒に味わいたいときや
赤身肉の旨味を堪能したい等の場合は
できるだけトマトの量は少なくしたほうが
いいでしょう。
その場合、代わりにフォンドボーと
赤ワインの量を増やし、煮込むときは
トマトだけでなく、水を加えて煮込むように
してください。
8)ハーブ類もここで加えます。

ローリエ、タイムまたはオレガノを
使用したほうが香りがいいでしょう。
9)煮詰めながらよく煮込む
煮詰めながらよく煮込むことが
美味しいミートソースを作る最大のコツです。
沸騰するまでは強火にして
一度湧いたらアクをとって
中火で煮詰めていきます。
煮詰めるときのポイント!
ミートソースは煮詰まりソースの水分が
なくなりだすと途端に、鍋底に肉類などの
具材がくっつきやすくなります。
そのまま放置しておくと底が焦げてしまい
焦げ臭があるミートソースになってしまいます。
適宜、鍋底をこするようにして
肉類が鍋底で焦げないようにしてください。
ミートソースの仕上がり直前になると
常に火の前に付きながら鍋底を
常にこするようなります。
十分煮詰まったら最後に味をして
出来上がりです。
赤身肉100%ミートソースの仕上げ
仕上がったミートソースをそのまま
食べても美味しいのですが、
パスタに合わせるにはまだ不十分です。
使うパスタに合わせてベースとしての
ミートソースから、もっと旨味をプラスして
美味しく昇華させなければなりません。
当店では赤毛和牛を使用した、
和牛赤身肉100%を粗挽きにした
特製ミートソースをベースにして、
ミートクリームパスタとして提供しています。
ミートソースにクリームを入れる
だけでも美味しいと思いますが、
お店では様々な前菜やメインの和牛赤身肉を
食べてからの、締めのパスタとして
ご注文される方が圧倒的に多いです。
そこで、生クリームの他にイタリア産のケッパー
を加えて、クリームパスタがしつこい味に
ならないようにしています。
ケッパーを加えることで酸味が加わり、
熊本県産の赤毛和牛や土佐のあか牛、
岩手県産の短角和牛を食べてあとでも
美味しく赤身100%のパスタが食べれてしまう
ほどです。
麺もフェットチーネの生パスタを合わせるので
ソースとのもよく絡むので一緒に
赤ワインを合わせて食べるとても美味しく
食べることができます。
ぜひお試しくださいね!