突然ですが…。

お肉を選ぶときに
「赤身肉」もしくは「霜降り肉」
どちらを選びますか?

 

『断然、霜降り肉だよ!』と
いう方もいると思います。

 

分かります。

 

お肉の柔らかさだと
ダントツですよね。

 

でも、全ての霜降りのお肉が
同じ焼き方をしたとして
美味しい、柔らかい、とは
限らないです。

 

それに。

 

これは「赤身肉」にも同じようなことが
言えるのですが…

すべてのお肉を同じような調理方法
焼いたとしてもお肉によっては逆に
美味しさを損なってしまう場合
もあります。

 

実は、お肉の美味さを決める
要因はお肉の“質”に関しては
誰も異論はない、と思います。

 

が、しかし…

 

それだけでは美味しいお肉を
食べることができるとは
言い切れないんです。

 

いくつか理由があるのですが
お肉自体を

「食したい!」

「お肉を食べてる感が欲しい!」

 

いう時はシンプルに焼きあがる方法を
使わなければ、お肉本来の味わいを
堪能することはできません。

 

間違っても。

 

霜降りの高級肉をワザワザ包丁で
切り刻みハンバーグにはする人は
いないと思います。

 

赤身肉も同じです。

 

ワザワザ赤身肉が硬くなるような
火の入れ方をする人なんて
誰一人いないと思います。

 

では、何がお肉を美味しくする
パズルのピースの一つなのか?
というと…。

 

「油 あぶら」です。

 

 

油の中でもバターが「鍵」です。

『えーーー!油って体に悪いじゃん。』

 

『なんで、お肉にバターがそんなに大事なの?

分かるように説明してよ!』

 

という反論は覚悟の上です。

 

この先の記事をお読みになると
少しづつ理解できます。

 

読み終わる頃には。

『なんだ!そうだったんだ。』

飲み会のお肉談義のネタにしよう!
と思って貰えるはずです。

 

このページでは
「赤身肉と霜降り肉」
バターと合うお肉はどちらなのか?」
を説明します。



 

霜降り肉にある脂の良し悪しで味は変わってしまう

霜降り肉、つまり「黒毛和牛」のお肉を
美味しく焼こうとして、スーパーなどで購入すると
“牛脂”も一緒になっていることがあります。

 

これは、牛の脂が好きな人にとっては
嬉しいのですが、できれば和牛の脂抜き
して食べたい方にとっては少し
嫌な気分になるかもしれません。

 

お肉を塊で焼く際。

 

これは討論になるくらい好みが分かれます。

 

牛脂だけでなく

 

サラダオイルなど植物性の油を使い
ステーキを焼く人

 

バターを使ってステーキを焼く人

 

牛脂を使いステーキを焼く人

 

フライパンで焼き上げる料理を一つ
とってもこれだけ千差万別の
好みがあるんです。

 

今まで「牛脂について」このブログでは
あまり書いていないので
少し説明します。

 

あなたに質問なのですが
なぜ塊のステーキを焼くとき
牛脂が必要と思うのでしょうか。

 

これは、最も基本的な考えですが
牛肉でステーキを焼くのだから当然。

 

牛の脂を溶かしてその脂で焼く方が
風味を損なわない。

 

という意見です。

 

この考え方は素晴らしいと思います。

 

当店でも他のお肉を焼く場合。

 

例えば

鴨肉には鴨の脂

仔羊には仔羊の脂

豚肉にはラード

・・・・など

 

通常はお肉が持っている脂
利用して焼き上げる方が
断然に美味しさがあります。

 

でも、牛だけはそうとも
言い切れないんです。

 

理由は牛の脂(ヘッド)融点
に関係しています。

 

霜降り肉が【胃もたれする】原因は質の悪い脂だった

まず、一般的な脂肪の話をします。

 

牛の脂の融点が高いのは
牛の体温に関係しています。

 

もしも。

 

牛の体温で牛が持っている脂が
溶け落ちて行ったらどうなるでしょう。

 

ガリガリの牛。

 

もしくは

 

筋肉ムキムキのマッチョな牛

しかいなくなります。

 

筋肉ムキムキの牛なんて
食べたって美味しくないですし
そもそも生物学的にみて
気持ちが悪いです。

 

では、同じ牛から得ることができる
バターではどうでしょうか?

 

バターがどのようにして作り出されるのか
を知らない方がいると思うので
超簡単に説明すると。

 

バターの原材料は牛乳です。

 

牛乳の中に含まれる“脂肪分”だけを
取りだし練り固めたものがバターです。

 

バターを食べたらわかりますが
口の中に入れると溶けますよね?

 

同じ牛から得られる脂肪分なのに
どうしてこんなに違うのでしょう。

 

牛乳は牛のお乳から出たものです。

 

もし、牛乳が仔牛や人間が口に入れても
脂肪分が固まってしまったら
ヤバイと思いませんか?

 

そうなんです。

 

牛の脂肪でも牛乳の中に含まれる
脂肪は融点がとても低いから
体の中に入れても口に残ることは
ありません。

 

ちなみに牛の脂に関しては諸説あるので
あくまでこれは一般的な話として
読んでください。

 

牛の脂肪の融点は“50℃”くらいと
言われています。

(黒毛の銘柄牛などは脂肪の融点の改良を
しているので、この限りではありません)

 

なので、一般的な牛の融点として
書いています。(主に外国産・・)

 

同じ牛の脂を使い牛肉を焼き上げたとき
最も味が左右してしまう原因がコレです。

 

もし今後ステーキを食べたり作るようでしたら
牛脂の質について検討してみてください。

 

お肉の部位でも変わりますが
赤身肉でしたらバターが良いです。

 

赤身肉をバターで上手に焼き上げるアメリカのステーキ

ここ数年でステーキの本場。

 

アメリカから出店してくるステーキハウスが
都市部を中心に増えています。

 

当店も「美味しいお肉」を扱う身として
赤身肉を食べる方が増えてくれるので
とてもありがたいです。

 

そのアメリカのステーキハウスですが
とても興味深い調理方法で
ステーキを焼き上げています。
(このお店はあくまでの一例です。)

 

その方法は全部で3つあります。

 

(1)赤身肉を厚切りにしている

 

ステーキの醍醐味は何と言っても厚切りです。

 

当店でもできるだけ厚切りで和牛の赤身肉を
味わってもらおうと、切り方や火入れを
工夫をしています。

 

アメリカのステーキの特徴は「とにかくブ厚い!」
です。

 

「厚切り」こそお肉を食べる最高の調味料かも
しれませんね。

 

(2)赤身肉を美味しくするため保存の仕方が独特

赤身肉を美味しく食べる方法の一つが
ドライエージングと呼ばれる「熟成肉」にする方法
があります。

 

黒毛和牛のような霜降り肉も熟成肉にはできます。

 

が、

 

お肉の水分が抜けていくので
高級なお肉が目減りしてしまいます。

 

それに和牛が持つ脂肪が熟成すると
さらに独特な風味が出てきます。

 

そのお肉を焼いたときに、エージングして
香りが立つ脂の香りが
肝心なお肉にも移ってしまうため
好き嫌いが大きく分かれます。

 

脂によって香りが「霜降り肉」についてしまうので
食べ方が限定されてしまいます。

 

このような理由からも「赤身肉」をドライエージング
をして食べた方が美味しいといえます。

 

ちなみに当店は熟成をさせるほど
熊本県や高知県のあか牛はいません
ので赤身肉を乾燥させてから使用しています。

 

こうすることで、余分な水分が抜けて
より味が凝縮します。

 

(3)赤身肉の希少部位だけを高温で一気に焼き上げる

先ほどの続きの続きになりますが、
赤身肉を熟成させるために骨つき
(枝肉、部位ごとの枝肉)で行う必要があります。

 

程よく熟成された赤身肉を骨ごとカットして
ティーボーンステーキ、エルボーンステーキ
トマホークステーキなどしています。

 

ステーキを焼き上げるオーブンを超高温にして
一気に焼き上げているのが最大の特徴です。

 

オーブンの温度は900℃くらいまで
熱せられています。

 

そのオーブンに「ぶ厚くカットされた赤身肉」
をオーブンに入れて一気に焼き上げます。

 

そして、お待ちかねのバターの登場です。

 

バターはそのまま使うと焦げて
炭のようになってしまいます。

なので、焦げないようにバターの上澄みだけ
を抽出した「澄ましバター」を使用しています。

 

ただ何も手を施さない
高温で焼き上げたお肉と違い
澄ましバターと熟成香が混ざり合い
風味ある味へと変わります。

 

まとめ

バターを使うと風味が豊かになり
食欲も旺盛になります。

 

霜降り肉はお肉自体は柔らかいですが
やはりバターを使った料理には
あまり合わないようです。

 

そのように考えると
バターによく合うお肉は赤身肉
だと言えます。

 

当店でも、和牛の赤身肉を使っています。

 

あか牛に関しては細かい脂が肉の内部に
入り組んでいるのでバターを使っても、

 

使わなくても、どちらでも美味しく食べることが
できると、感じています。

 

しかし、同じ和牛の赤身肉でも
短角和牛はとても赤みが強いお肉です。

こうしたお肉こそバターを使い
風味豊かに仕上げたいものです。

 

当店では、すべての部位ではないですが
短角和牛の部位によってはバター
絡めて焼いたり。

 

はじめにバターの風味をたっぷりつけて
焼き上げたり、と素材によっては
調理方法を変えることもあります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

黒毛和牛と赤身肉のことについてもっと知りたい方は
こちらをお読みになってみてください。

黒毛和牛肉は赤身肉より安全?