「美味い牛肉がある県はどこなのか?」と探していると
なぜか西日本ばかりがの和牛が美味しい産地と
思ってしまいます。

三大銘柄和牛も西日本ばかりですし。
(仙台牛や前沢牛が入ることもあります。)

 

当店でも赤毛和牛(あか牛)
熊本県高知県から仕入れをしています。

 

でもどうやらまだまだ西日本から
遠く離れた沖縄県にも素晴らしい牛たちが
いるようです。

 

先日、あるキッカケで沖縄県石垣島産の
石垣牛を食べました。

 

正直言って…

 

美味すぎて困りました。

 

それまで「あか牛」の方が肉の旨味が強く
肉らしいと思っていたのに…

 

ビックリです。

 

ぜひ、肉好きのあなたにも
知ってほしいと思い
記事にすることにしました。

 

このページでは熊本県産の「あか牛」と
沖縄県が誇る和牛「石垣牛」についての
美味しさのルーツについて解説をします。

 

あか牛のルーツを知っておく

あか牛の正式名称は「褐色和種」と言います。

 

国内では熊本県と高知県の2大産地に
ちなんで熊本系のあか牛。

 

高知系のあか牛とに分かれています。

 

両者は同じ名前ですが、一度も交うことなく
別々の場所で飼育されてきました。

 

もともとは韓国の「韓牛」を元に在来種の
シンメンタール種との交配により生み出された
日本固有の品種です。

 

シンメンタール種とは、スイスやフランスなどで
飼育されています。

 

顔と足は白く背中には白の斑点があります。
乳肉兼用種としてヨーロッパを代表する牛です。

 

そして「あか牛」は昭和19年に
「和牛」として登録されます。

私も熊本県の阿蘇には何度も訪れていますが
牧場がとにかく広大であか牛が好きな牧草が
たくさんあるところで元気に運動をさせて
育てられています。

一説によるとあか牛は毎日。

40〜50キロの牧草を食べて
阿蘇の山に切り引かれた牧場の中を
4〜7キロ歩いて移動するそうです。

 

牧場といってもかなり広大な山を
切り開いているので、谷もあれば
大きな木もあります。

 

ちなみに

「熊本県阿蘇地域」は
平成25年の5月に世界農業遺産として
認定されています。

阿蘇の草原の維持と持続的農業

(農林水産省HPから抜粋)

 

あか牛農家さんにお会いした時に
あか牛の歴史を聞いたことがあります。

 

歴史はとても古く1000年以上も前から
存在していたと言われています。

 

あか牛と認定される前は「肥後あか牛」
呼ばれて日本の神話にも登場していたという
説もあります。

 

もともとの「あか牛」は主に農耕を手伝う牛として
飼っていたようです。

初めは農耕用の牛として人とともに畑を耕し
歳をとり農耕を手伝えなくなった牛を
食用としていたと、熊本県のあか牛農家さんが
仰っていました。

 

「あか牛」は性格がおとなしく人懐っこいため
熊本県の人たちの生活を支える大事な
パートナーとして生活を共にしてきたそうです。

 

それから時が過ぎて、阿蘇を牧場とするために
現地の方々がグループを組み阿蘇の牧場を
管理しています。

管理のやり方が独特で「野焼き」と呼ばれる
草をいちど焼きそのあと、自然に牧草が
生えるような環境を整えてから
あか牛を放牧させて育てています。

 

野焼きの作業ですが
グループが一丸となって行います。

 

しかし、風が想像以上に強く吹いたり
予想もつかないような災難にあわれて
命を落とす方もいるそうです。

 

命がけで牛を育てているのが
熊本県のあか牛です。

 

あか牛とは全く違う石垣牛のルーツ

次に沖縄県が誇る牛。

「石垣牛」にルーツについて
説明します。

 

沖縄県の周りには島々が
点在しています。

 

その島々にはそれぞれが
牛を育てて本土に送られて
います。

 

沖縄地方で子牛を仕入れて
全国に点在する銘柄牛の産地
肥育して「〇〇牛」として
私達は食べています。

 

石垣島も例外ではなく、
もともとは本土に送る前の
「素牛」として飼育していました。

なぜ他の島よりも石垣島の牛が
光を浴びることになったのか?

 

というと、2000年7月に開催された
「沖縄サミット主要国首脳会議」
です。

 

沖縄県名護市で開催された
サミットの晩餐会のメイン料理として
「石垣牛ステーキ」が提供されました。

 

石垣牛のお肉はとても評判が良く
一気に知名度を上げることになりました。

 

それまで石垣島は前にも書きましたが
もともとは本土に送る“素牛”として
子牛を育ていました。

 

言い忘れてましたが品種は
「黒毛和牛」です。

 

黒毛和牛は全国の和牛のシェアの
95%以上を占めています。

 

銘柄牛と呼ばれる産地では
子牛を一から育てるようなことは
少なく沖縄県やその点在する島。

 

石垣島などから将来銘柄牛に
なるような子牛を買い付けて
います。

 

そんな中。

外には出さず(本土)に
石垣島で大切に育てられたのが
石垣牛となりました。

 

石垣牛の殆どは子牛から
肥育までみている農家さんの力
によって育てられています。

 

石垣牛と名乗るにも
厳格な基準があります。

それをクリアしないと
「石垣牛」と名乗ることは
許されていません。

 

八重山諸島で生まれ
24ヶ月以上35ヶ月〜40ヶ月未満
肥育された黒毛和牛です。

 

さらに和牛等級によって
名前が変わります。

 

肉質等級が4等級、5等級の石垣牛は
「特選」と名乗ることができます。

 

2等級、3等級になると「銘産」となります。

 

このあと詳しく説明しますが
黒毛和牛なのにアッサリとした脂が
特徴でお肉の味わいもしっかりあるのが
特徴です。

 

あか牛と石垣牛どちらがヘルシーか?

ここまでお読みになって
理解できたと思いますが
両者とも素晴らしい和牛には
違いはありません。

 

ではステーキにした時の「ヘルシー」さや
「味わい」はどのような違いがあるのでしょうか?

 

熊本県産の「あか牛」のお肉の特徴は
肉の内部に細かい脂が入っていることです。

なので、赤身のお肉と言っても
外国産の赤みでガッツリしている牛と比べて
噛むほどにジューシーな味わいになるのは
お肉の内部にある脂のおかげです。

 

この脂が加熱によって肉汁と混ざり合い
独特な肉の甘みやコク、香りのある
味わいとなります。

 

それとあか牛の赤身肉にはアミノ酸の一種
の栄養素である「タウリン」と呼ばれる
部質が豊富に含まれています。

 

タウリンにはアルコールによる
「肝機能障害」を改善したり
血圧を下げる働きがある、と
言われています。

 

これらがありヘルシーなお肉と
呼ばれている理由です。

 

対して、石垣牛は霜降り肉です。

 

黒毛和牛の特徴は
なんといっても脂にあります。

『脂が体にいいわけないじゃないか!』

 

という意見があると思いますが
それは外国産などの牛の脂です。

 

特に和牛に関していうと…

 

飼料の改良や育て方の改善により
他の牛よりも大幅に脂が溶ける融点
を下げることに成功しています。

 

和牛には悪玉コレステロールの量を
減らすことに効果のある「不飽和脂肪酸」が
60%以上も含まれています。

 

不飽和脂肪酸が多いほど
融点が下がります。

 

なので、石垣牛の脂は常温でも
溶けてしまうほど融点が低いんです。

 

そんな上質なお肉を加熱してステーキにしたら
脂が熱によって適度に落ちていくことになるので
他の黒毛和牛と比べてもサラッとした
味わいになるのです。

 

黒毛和牛の中では「ヘルシーなお肉」
と言えますよね。

 

この2種を甲乙はつけられないくらい
素晴らしいお肉です。

 

ですが、「ヘルシー」ということですと
熊本県のあか牛の方がサッパリ
しています。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

今回は黒毛和牛の中でも最近
人気がある「石垣牛」と比べてみました。

 

先日、石垣牛を食べる機会がありました。

噂通り、脂のしつこさもなく
美味しく食べることができました。

 

なによりも驚いたことは
お肉の味わいです。

 

有名な黒毛和牛は肉の味が
あまりしませんが、「石垣牛」は
お肉の味がしっかりするんです。

 

「あか牛」とは異なる次元
の美味しさでした。

 

熊本県のあか牛はとにかく
飼育されている数が少ないです。

 

ご紹介した石垣牛も味が良いとは言え
黒毛和牛です。

 

日本全国で育てられている牛の中では
黒毛和牛が約1.773.000頭います。

 

それに対して熊本県や高知県で
育てられているあか牛の数は
わずか23.000頭しかいません。

熊本県 阿蘇 赤牛 あか毛和牛 放牧

赤身肉ブームということがあり
少しずつ「あか牛」や岩手県の短角和牛
も人気が出てきいます。

 

ですが、まだ圧倒的に日本は
黒毛和牛の一強の状態です。

 

あか牛は希少性だけを解説している
書籍やWEBサイトを見ますが
味わいにも目を向けてほしいと
個人的には思っています。

 

この記事をご覧のあなたも
ぜひ黒毛和牛だけでなく
あか牛も食べてみてください。

 

きっと和牛に対する常識が
引っくり返ると思いますよ!

和牛のことをもっと知りたい方は
こちらもお読みになってみてください。

 

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