和牛赤身肉専門の肉エビスです。

 

あなたは赤身肉と聞いてどの部位を想像しますか?

 

牛肉の赤身肉でなく鹿や鴨などの素材ですか?

 

赤身肉と称してスーパーなどで、販売している肉の多くは赤身肉とはいいながら…。

 

「見た目が全然赤身ではない」

 

そんな肉を目にすることがあると思います。

 

 

黒毛和牛でも霜降りの部位赤身の部位というように区別して取り扱いをしています。

 

サーロインやリブロースなどは霜降りの部位。

 

それ以外のもも肉などは赤身の部位と…。

 

こんな風にあくまで取り扱いをしやすいように、ザックリと決めています。

 

モモ系の肉は赤身肉として広く知られていると思います。

 

赤身の中でも一番高級な部位ヒレ肉も赤身肉です。

それともう一つ忘れてならない
赤身の部位があります。

 

スネ肉です。

 

実はスネ肉は赤身の中でも
一番味が濃いです。

 

それもステーキとして味わうスネ肉は
最高に旨いです。

 

不思議に思う方が多いと思いますが
これは本当です。

 

ただし。という条件付きですが…。

 

そこでこのページではスネ肉のステーキ
の話を中心にしていきたいと考えてきます。

 

このページを読むことであなたは
肉マニアのレベルがワンランクアップ
するでしょう。

 

おいしい赤身肉の部位はなぜスネ肉なのか

一般的な赤身部位の説明を
冒頭でザックリとしました。

 

和牛の例でいうと。

 

赤身になる部位とそうでない部位が
あるのは個体差もありますが、基本的に
体の中でよく使う部位は赤身になります。

 

だから、全く動かさない部位は脂が
肉の中に入り込むことで霜降り状態に
なります。

 

あなたがよく知る部位でいうならば
サーロインやリブロースは牛肉のなかでも
特に霜降りになりやすいです。

対して、前述した「もも系」の肉は牛の体を
支えるために肉の量も必要です。

 

だからよく動かして筋肉をつけていないと
牛の重量に耐えられなくなってしまうんです。

 

そうなると、肉に変化がおこります。

 

背中側の肉よりも「もも肉」の方に
赤身の比率が多くなります。

 

さらに、モモ肉よりも下の部位である
スネ肉も赤身肉となります。

 

ご存知の通り。

 

スネ肉はもも肉よりもよく動かす部位です。

 

だから、脂がほぼといっていいほど
ありません。

 

あまり、知られていませんが「スネ肉」こそ
赤身の中の赤身と呼んでもいいくらいです。

 

スネ肉の調理方法

スネ肉はよく動かす部位のため
私たちフレンチの世界では主に煮込み料理
にすることが多い部位です。

 

あとは、スネ肉は細かな筋が多いので
綺麗に筋を取り除き、挽肉にしてから
コンソメとして使ったりすることがあります。

 

これは余談ですが、牛のスネ肉で作った
コンソメスープは上品な香りの中に
濃くがあるので、とても美味しいスープに
仕上がります。
(トマト多めが特に美味いです。)

 

このように、今までのスネ肉の調理方法は
主に“煮る”“引き肉”にするくらいしか
ありませんでした。

おいしい赤身肉のステーキはスネ肉

 

スネ肉と聞くと肉が固い、筋が多い
といわれてきました。

 

確かに僕もスネ肉をそのまま焼いて
食べようとは思いません。

 

肉が固すぎです。

 

料理の世界に28年間あまり
携わっている経験から言えることは
「スネ肉は使い道が限られている」
ように感じています。

 

それが。

 

ある条件をクリアするとスネ肉が
美味しいステーキとして食べることが
できるんですよ。

 

スネ肉のステーキって食べたことありますか?

 

僕もなかったです。

 

経験するまでは…。

 

毎年、僕たちは熊本県の阿蘇に
あか牛を見に出かけています。

 

いつもお世話になっている方に
スネ肉のステーキを紹介されて
食べてみると驚きの旨さでした。

 

ギンギンに熱せられた阿蘇の溶岩プレート
の上にあか牛のスネ肉を乗せてでてきます。

 

ジュージューと肉が焼けている音を
聞きながら、スネ肉を一口頬張ると…。

 

こんな美味い肉を食べたのは
フランス以来かも!!
と思わせる旨さです。

 

「とにかく肉が美味しいんです!」

 

スネ肉はモモ肉と違い完全な赤身肉です。

 

全然肉が固くない、とはいいませんが、
噛み締めて食べるには美味しい固さの
肉でした。

 

ここだけの話にして欲しいのですが
安さが売りの情報が少ない外国産の
牛肉よりは味わいが濃く、何よりも
安心して食べることができます。

 

スネ肉のステーキを他の和牛。

 

例えば、短角和牛、黒毛和牛などで
試しましたが、僕が知っているような
スネ肉でした。

 

なので、ステーキとして食べるには
不向きです。

 

味見で焼いてみたんですが
肉が固いんです。

 

それも尋常じゃ無い固さです。

 

他の和牛肉はやっぱり
「煮込む」「ミンチ」以外の
調理方法はないのかも
しれませんね。

 

おいしい赤身肉のスネ肉ステーキはここだけ

あとで気がついたのですが
いつもお世話になっている
井さんが育てたあか牛でないと
スネ肉のステーキはできないんですよね。

 

理由はいくつかあるのですが僕がこれだ!
といえる範囲でいうならば、まず。

 

あか牛(赤毛和牛)の大きさが違います。

こちらが育てるあか牛の最大の特徴は
一頭あたりの大きさがそれほど大きくない
ことです。

 

あか牛一頭の生体重量は650kg程度しか
ありません。(2019年6月現在のあか牛)

他のあか牛の生体重量は大きいあか牛に
なると750〜850kgになる牛もいます。

 

大きさの話は奥が深いので次に譲るとして
今回はスネ肉の話なので、スネ肉に焦点を
あてます。

 

例えば総重量が800kgのあか牛ですと
この体を支えなければならない筋肉や
筋が大きくなります。

 

対して、こちらのあか牛は650gしか
ありませんので体が軽いんですよね。

 

だからスネ肉も弾力のある綺麗な
赤身肉のままとなります。

 

スネ肉にある筋も小型の牛なので
過度な筋の太さにならないで済みます。

 

もうひとつ、ここのあか牛でなければ
ならない理由があります。

 

それは、飼料です。

これは、僕たちが現地を訪れて実際に
餌やりから体験させていただいので
分かることなのですが、あか牛にあげる
飼料の質が全く違います。

 

同じトウモロコシでも人間が食べる
トウモロコシもあれば、細かくしないと
食べることができない粗悪なトウモロコシまで
トウモロコシひとつとっても“ランク”
いうものがあります。

 

当然。

 

粗悪の飼料しか与えられていない
「あか牛」ならば見た目にはあか牛なのかも
しれませんが肉の味の面において
物足りない、味がしないとなります。

農家さんにとってこの2つはとても
リスクのあることです。

 

牛の大きさが小さいことは
セリ場に出すときに安値になって
しまうからです。

 

「枝肉の重量×キロ単価=売値」

 

となると重量がない時点で
かなり不利なんです。

 

それと、あか牛の飼料も同じです。

 

人間が食べて美味しいと思える飼料は
高額になります。

とくに「大豆」とかも飼料のなかに
いれているので他のあか牛農家の方よりも
飼料代金が掛かっています。

 

だから、この2点をクリアすることって、
農家さんにとってかなり勇気のいること
なんです。

 

そんな、こだわりがあるからこそ。

 

あか牛スネ肉ステーキは
“常識を覆すレベル”の赤身肉に
なるんですよね。

 

おいしい赤身肉の部位はスネ肉、肉掃除も手が抜けません

これだけ、手塩にかけて育てている
“あか牛”だからこそスネ肉もステーキとして
食べることができるのですが、肝心の
私たちの調理方法が至らなければ
素材が台無しになってしまいます。

だからこそ、スネ肉についている筋などを
取り除く“肉掃除”は細心の注意が必要です。

当店の考え方は美味しい料理は
「素材の力が80%以上」と考えています。

 

なので、奇抜な盛り付けや最新鋭の
テクニックや過度の流行りなどを
追うことはありません。

 

私たちの考え方は調理技術はあくまでも
良い素材を活かすために使う。という
認識のもと日々料理をしています。

 

良い素材だからこそ、最高の状態で
シンプルな料理として提供したい
と考えています。

 

そのために、スネ肉の筋掃除も
一切手を抜けません。

 

とはいっても、前述したとおり
総重量の少ないあか牛なので
筋はありますが固い筋だけ取り除く
ことだけしています。

 

こうして出来上がった
「あか牛のスネ肉ステーキ」
は赤身らしさがある最高のステーキに
なりました。