和牛赤身肉専門クニオミです。
熟成肉と騒がれてもう数年が経ちます。
そんな中、当店に来店されるお客様に
よく聞かれることがあります。
『このお店では熟成肉はないんですか?』
あか牛を食べに来店したはずなのに
熟成肉を食べたいという人が
とても増えています。
しかし、「あか牛」をずっと扱っているお店として
疑問に思うことがあります。
あか牛を美味しくする食べ方として
熟成は一つの方法かもしれませんが
果たして「あか牛」は美味しくなる
のでしょうか?
巷では、どんな赤身肉でも熟成、熟成と
とりあえず言っている感があります。
この記事で熟成をすることは本当に
お肉を美味しくする方法なのか?について
説明します。
もくじ
あか牛は美味い熟成肉に向きの肉
あか牛の熟成について説明する前に
間違った方向に進むすぎている
お肉の食べ方について書こうと思います。
なぜ間違った方向に熟成肉が進んでいるのか
というと、熟成肉に対する定義がしっかり
していない点が挙げられます。
各々のお店や会社が
「これが熟成だ!」と言い張っています。
例えばこんな感じです。
・熟成は最低3日間冷蔵庫に入れているものだ
・1ヶ月以上骨つきで熟成させないと熟成とは呼べない
・熟成は香りだけあればいい
・・・・など
本当に調べれば調べるほど賛否両論です。
これではどのお肉を熟成肉と呼んでいいのか
分かりません。
つまり、こういうことです。
熟成ということは何となくは知っているけど
どこからが熟成と呼べて、どのような工程を経て
本来は作られるものなのか、
熟成の定義が曖昧すぎるのです。
よく問題視されていることに
「熟成」と「発酵」があります。
両者とも似てはいますが
少し違います。
専門的な話はあまりしたくないので
超簡単に説明すると…。
発酵とは空気など外部に存在している
微生物の酵素でその食品を
分解することです。
では「熟成」はどうなのかというと、
熟成によって「肉を寝かせる」
と言った方が分かりやすかも
しれません。
例えば、あか牛というお肉がすでに
持っている酵素によりタンパク質が
分解されてアミノ酸に変化をします。
つまり外気の微生物でなく
すでにお肉にあるモノで
自己分解をして熟成になる
ということなのです。
では話を戻して
あか牛を熟成肉にすることはできるのか?と
聞かれたら“YES”と答えます。
しかし。
上記でも説明した熟成をしたお肉に
わざわざ「希少なあか牛」で
行う必要があるのか?
というと、私は違うと思います。
熟成をした方がもしかしたら
美味しいかもしれません。
いや。
美味いと思います。
(元の肉の味が濃いので)
でも現実的に考えてみてどうでしょう。
希少価値が上がっている「あか牛」を
さらに熟成肉としてあか牛のお肉は美味しく
なるかもしれません。
でも、劇的な変化がお肉に出るのか?
というと他の熟成肉と変わらないです。
実はある実験をしたことがあります。
あか牛を熟成するとどうなるのか?
ということです。
結果的にはそれなりに美味しいですが
他の熟成肉と比べるとお肉の個性がないように
感じました。
このようなことから、
あか牛は熟成肉に向いていないと
言えます。
あか牛はジャージー牛とは違う
あか牛とよく引き合いに出される
牛肉があります。
ジャージー牛です。
ジャージー牛ってジャージー牛乳のイメージ
があると思いますが、ここで言われているのは
食肉として育てられているジャージー牛のこと
です。
当店でも、今から7年前は国内に良い赤身肉が
なかったのでジャージー牛を群馬県から仕入れて
お出ししていた時もあります。
その後、熊本県のあか牛に出会い。
ジャージー牛肉よりも味がよく
旨味も強いあか牛に変えた過去があります。
この経験から言えることがあります。
ジャージー牛肉は火入れがとても難しく
少しでも火入れを間違えてしまうと
肉が固くなり旨味も外に逃げてしまうので
味気ないお肉になってしまいます。
特に他のお店で提供しているスタイルや焼き方で
焼く・・・強火で一気に火を入れる方法や
鉄板でジュージューと焼いて食べる食べ方には
あまり適していないお肉です。
理由は食肉用としてのお肉ではない
からです。
別の記事でも説明していますが
牛は主に2種類に分かれています。
牛乳などを生産してくれている
乳牛。
そして牛肉としてお肉を食べる
肉用の牛です。
赤身でそれなりにはジャージー牛は
美味しいと私は思います。
上手に焼けると肉汁にジャジー牛の中に
含まれている脂肪分がお肉に溶け出て
まるで濃いミルクと肉汁を混ぜているような
味わいになります。
シンプルに旨いです。
では、あか牛はどうなのか?というと
あか牛のお肉の断面を見るとよく分かります。
赤身のお肉の中に見えないくらいの
サシが細かく入っています。
最近は見えすぎるサシがある
「あか牛」が増えてきましたが
もともとあか牛のお肉の特徴は
細かなサシにあります。
このサシがお肉に火を入れた時に
旨味に変わるのは勿論です。
でもそれだけじゃないです。
このサシのおかげで
お肉が固くなりずらいんですよ。
(火の入れすぎは問題外ですが。。。)
あか牛はジャージー牛と似て
赤身のお肉ですがお肉の火入れや
食べた時の旨味、濃さ、固さ
噛んだ時の後味の良さ、自然な甘み
・・・など
全く別次元です。
両方のお肉をよく知っているので
言えますが、どちらが良い悪いとかではなく
持っている個性が違います。
機会があれば食べ比べると
いいかもしれません。
あか牛オススメの美味しい食べ方はコレで決まり
あか牛は熟成向きなお肉でもなく
同じ国内産の赤身肉のジャージー牛
とも違う、と説明してきました。
では、どうやって食べると美味しく
食べることができるのか?
というと、オススメはシンプルに
塩・コショーだけで食す
ステーキが良いと思います。
薄切りでは意味がありません。
最低でもお肉の厚さが5センチ以上は
ないと「あか牛の美味さ」は
感じづらいでしょう。
もちろん、焼肉など他の料理に使用しても
美味しいお肉なのは間違いありません。
でも、美味しい赤身肉で国内産が食べたいと
言われたら、真っ先に熊本県産のあか牛か
高知県産の土佐あか牛をオススメします。
ただし、このお肉を仕入れたばかりとか
スーパーで購入したばかりの時は
残念ながら美味しさが足りません。
なぜか・・というと他の和牛と比べて
あか牛のお肉は基本的に水っぽいからです。
できれば熟成などはせずにお肉に含まれている
水分を抜いてあげたほうがいいです。
冷蔵庫の中にラップや蓋をせずに
1日か、お肉の大きさによりますが
2〜3日冷蔵庫の風で乾かしてみてください。
乾かして適度に凝縮したお肉を
ぜひステーキにしてみてください。
最初は極上の塩だけで
食べてみたほうがいいです。
塩だけだと物足りない、味を足したい、ので
あればソースやコショーなどと一緒に
食べてみてください。
きっと赤身肉に対する固定概念が
ひっくり返ると思いますよ!
まとめ
このページでは全てのお肉が
熟成に適しているわけでなない
とお伝えしました。
熟成肉として良いのは
お肉自体に旨味があることが条件
で全てのお肉ができるわけではないと
論理的にも説明しました。
いかがでしたか?
あか牛は最近は少しづつ増えてきていますが、
黒毛和牛と比べると全然頭数がいません。
少ない理由はこちらの記事を
読んでみてください。
だからこそ、あか牛のお肉の良さを実感できるような
焼き方や保存方法で美味しく食べた方が
いいと思いませんか?
この記事があなたの知識となり
まだ知らない方達に伝えていただけると
嬉しいです。