フレンチ和牛赤身肉クニオミです。
赤身肉は霜降り肉と比べてヘルシーです。
体型や健康を気にされたり、お腹周りが気になる方にとって、赤身肉の方が食べやすく、肉の味も良いのでハマる方は多いです。
しかし。
残念ながら一定数。
霜降り肉に代表されるような、柔らかいお肉になれてしまい、赤身肉を食べて硬いと感じる方がいます。
「赤身肉は硬いから苦手だな」
このように思われているのなら、
大きな誤解をしています。
赤身肉と言っても外国産や国内産。
品種もF2やF3の交雑牛から始まり
乳牛を食用にした肉。
本格的な和牛の赤身肉まで様々です。
この記事では
赤身肉が硬くて苦手なひと必見!
短角牛はカレーが激ウマだった話をします。
次の章から開始しますので、赤身肉に対する誤解を
取り払って頂けたら嬉しいです。
短角牛は赤身が美味しい和牛肉
短角牛は和牛肉品種の一つで、有名な黒毛和牛とは異なり、持ち味は赤身の肉です。
和牛には赤身が持ち味の品種がいますが、短角牛の方が肉の味わいが濃く、肉好きの方に高評価をいただいてます。
味わいが濃く肉好きには堪らない美味しさです。
でも欠点があります。
肉の取り扱いが難しいことです。
詳しくは後述しますが、赤身肉が故に加熱の仕方や
調理方法を間違えると、肉が想像以上に硬くなることです。
しかし。
これだけは知っておいてほしいのですが。
牛肉に関して赤身肉を食べるなら、外国産よりも国内産の赤身肉を食べた方が断然に旨いです。
理由は、外国産の一部はとても赤身とはいえないからです。
米国産やオージー産は成牛になる前の肉を安く輸出してます。
※円安で高くなってますが。。
見た目は成牛に近いですが、実情は仔牛肉を牛肉として食べています。
食べ比べてみると分かりますが、肉の味わいが全く違います。
その点。
短角牛は成牛の肉を食用にしているので、肉の味わいがしっかりと感じます。
短角牛の評価が分かれる筋肉質の赤身
短角牛は成牛の肉を食肉にしてますが、赤身が強く筋肉質なために人によっては評価がガラリと変わります。
肉=柔らかい=おいしい肉
このように思われている方にとって、
短角牛の評価はかなり低いです。
しかし。
柔らかい肉=未熟な肉=肉の味がしない
この事実を知っている方にとって、短角牛は肉の旨味と噛み応えのある素晴らしい最高の肉なのです。
明治から本格的に肉を食べるようになった私たち日本人。
そろそろ、肉の本質の美味しさに目覚めてもいいかもしれませんね。
短角牛がフレンチの技で美味しい赤身肉に変身
人によって美味しいか苦手か評価が分かれる短角牛ですが、
調理テクニックで激変します。
フレンチの技の素晴らしさは世界が認めています。
その技を使い赤身が強い短角牛を料理したらどうなるでしょう。
フランスでは牛肉といえば赤身肉のことです。
なので、赤身肉を調理するのはお手のものです。
他の記事でも紹介してますが、赤身肉を美味しく食べるコツは火の通し方にあります。
一般的に
『肉を高温で焼き固める』
と言われてます。
フレンチの技を使うなら、このようなことはしません。
中火から弱火で肉の内部まで、均等に熱が伝わるようにソフトに火を入れていきます。
こうして火を通した赤身肉は驚くほど、しっとりジューシーになり、肉汁が滴る極ウマの赤身肉に変身します。
赤身肉が食べずらいのは、調理方法で多くは解決できるのです。
赤身を直球で感じたいならステーキ
赤身肉を直に味わいたら、ステーキにするのがオススメでです。
ステーキにする際に一点、気をつけてほしい事があります。
アメリカ式のステーキのやり方は、短角牛の肉質を考えると適当ではありません。
前章で話したフランス式の技を使い、ステーキにした方が素材を活かせます。
赤身肉は油脂分が足らないため、厚切りの肉になればなるほど、肉の表面が乾燥します。
何らかの方法で油脂分を補う必要があります。
手っ取り早くできる方法としては、肉の周りをベーコンでグルグルに巻き込んで赤身肉を焼く方法です。
ベーコンに含まれる油脂分、旨味が肉に入っていくので、極上の美味さになります。
ぜひ、お試しください。
味の良い赤身肉にしかできない煮込み料理
硬い赤身肉を煮込みホロホロになるまで、柔らかくして食べると美味しいです。
ですが、全ての赤身肉が煮込めば美味しくなる訳ではありありません。
煮込むことで
『肉の味わいがなくなる肉』
もあります。
もうお気づきだと思いますが、外国産の牛の肉です。
確かに肉は柔らかいですが、旨味に乏しいのでいくら煮込んでも、肉からは味やコクは出てきません。
肉の旨味がないから、既製品の味の強いソースで誤魔化します。
煮込み料理の醍醐味は、肉の味とソースの一体感です。
味が濃い赤身肉を煮込み料理すると、驚くほど旨味に溢れた煮込み料理になります。
煮込み料理は素材の力、料理する方の腕が要求されます。
煮込むほど美味しくなる訳ではないことを知っておくといいでしょうね。
短角牛の魅力を引き出すフレンチカレー
短角牛の魅力は肉の味の濃さと赤身です。
ステーキとして食べれる部位はモチロン!
ステーキの方がいいですが、煮込むことで旨味が倍増する部位は煮込みにしたいですね。
フレンチの王道にビーフシチュー(ブフ ブルギニョン)という料理があります。※牛肉の赤ワイン煮込みのことです。
赤ワインを使うので短角牛の旨さを味わうには最適だと思いますが、今回はもっと私たちに馴染みのある料理にしたいと考えました。
カレーです。
カレーと言っても家庭で簡単に作れる料理ではなく。素材や作り方にこだわったフレンチカレーです。
ホテルを訪れるとフレンチカレーを出していますが、素人では出すことができない旨味や上品な香りには驚かされます。
今回は、フランスの煮込み料理ではなくフレンチの技を使いカレーに昇華させます。
赤身の旨味を引き出す煮込み方がポイント
フレンチの技を使い、短角牛の赤身の旨さをどのように引き出すのかが、大きなポイントになります。
そして、赤身肉を煮込むわけですが、フレンチの世界では煮込むと言っても色々な煮込み方があります。
1)ラグー
大きな鍋にたっぷりの水分を加えてコトコト煮込む方法
2)ポッシェ
沸騰寸前の液体の中で静かに茹でて火を入れる方法
3)ブレゼ
鍋に3分の1程度の液体を入れて、蓋をしてオーブンに入れて煮込みながら蒸して、旨味をソースに移して仕上げる方法
4)ラグー・ブレゼ
ラグーとブレゼを組み合わせた方法
短角牛のような、赤身が強く旨味の濃い肉は煮込む時間を長くする必要があります。
また、肉だけで煮込むとボソボソとした仕上がりの煮込み料理になるので、煮込むことでコクと旨味が増す、ゼラチン質の部位を入れたいところです。
短角牛の筋肉やアキレス腱などを加えて、味わいに深みを持たせます。
赤身肉の部位と一緒に煮てしまうと。肉の方が先に柔らかくなってしまいます。
それでは折角の素材が台無しです。
別の方法を使い、柔らかくした赤身を後のせにすることにします。※煮込みテクニックですが4番のラグー・ブレゼです。
このテクニックを使えば、筋やアキレス腱はトロトロになり、赤身肉は汁に溶けてコクと旨味となります。
カレーの決め手は秘伝のスパイス
カレーを上手に作る最大のコツがあります。
煮込む時間でカレーなどのスパイスを入れるタイミングを測ることです。
今回のような長時間にわたって煮込む場合は、仕上がり寸前でスパイスを入れます。細かくしたスパイスは、液体を沸騰させればさせるほど香りが抜けていくからです。
スパイスは秘伝の調合をします。
カレーの主な香りであるクミンを基本に、ターメリック、コリンダーなど15種類ほどのスパイスを混ぜます。
忘れていけないのが苦味成分。
信じられないかもしれませんが、カレーに苦味を加えると驚くほど濃くと深みが出ます。
とろみはホドホドにして、短角牛の肉の旨味を損なわないようにします。
こうして出来上がったフレンチカレーは極上の味わいです。
【短角牛】赤身肉フレンチカレーの完成
短角牛は赤身と脂の割合を考えた部位。
ブリスケを使用しました。ブリスケとは前バラのことです。
赤身の肉が多く適度に脂があり、煮込むことでコクや旨味があります。
ちなみに子牛のブリスケはフランス伝統料理。ブランケット・ド・ヴォーという、ホワイトソースで煮込んだ料理には欠かせない部位です。
フレンチの技を発揮するには最適な部位だと言えます。
この肉をコトコトと8時間〜10時間かけて柔らかくします。
忘れてならないのは、煮込みに使った汁。短角牛の旨味が溶け出て、とても上品な味わいがする出汁(ブイヨン)を使うことです。
短角牛の出汁をカレーに加えるので、美味しさは間違いなしだと思います。
完成した【短角牛】赤身肉フレンチカレーです。
スパイスが赤身と調和して中々の出来です。
ここまでお読みなり、【短角牛】赤身肉フレンチカレーを食べてみたい方がいるでしょう。
完全手作りなので数は多くはないですが、一部オフィシャルサイトにおいてあるので、よろしければ手にとってみてください。