赤身肉専門の肉エビスです。
あなたは日本にも闘牛がいることをご存知でしょうか?
知ってる見たことがある!という方もいれば
そんなの聞いたことない、という方もいるでしょう。
「あんな残酷なもの見るに耐えない!」
と、スペインの闘牛をイメージされるのであれば、抗議される方もいらっしゃると思います。
どちらも同じ闘牛と呼ばれますが、スペインと日本ではまったく違います。
・歴史
・ルール
・牛の品種
ただ共通している点もあります。
どちらも歴史が古く、現在に至るまで伝統儀式として継承されているというところです。
どちらもオス牛これは絶対に欠かせません。
闘牛がオス牛である理由には、生まれ持った本能にある縄張り争いや、優劣の順位に対して敏感なところが向いているからです。
最強のオス牛たちが、闘争心をむき出しにしてぶつかり合う荒々しい姿には圧倒されます。
いったい闘牛とはどのようなもので見どころは何なのか?
このページでは
【闘牛】スペインと日本の違いとは?全国で活躍する和牛の最強軍団
というスペインと日本の闘牛について解説します。
闘牛はスペインと日本でルールが違う
同じ闘牛でも国が違えばルールも違います。
一番大きな違いは、スペインと日本では”闘う相手が違う”ことです。
スペインでは「牛」 対「 人間」の対決が闘牛です。
対して、日本では「牛」と「牛」が勝負します。
【スペイン】ではマタドール(闘牛士)と呼ばれ
闘牛士が赤いマントをヒラヒラさせて、牛を挑発する光景をテレビやインターネットで、見たことがある方は多いのではないでしょうか。
それに反応した闘牛が、ものすごい勢いで突進してくる光景は迫力満点です。
牛は赤色を見ると興奮する、と思われていますが、色の違いを識別できないため、揺れ動く旗を見て反応していると言われています。
なので、闘牛士が赤い旗を使ったり、キンキラの派手な服装を着ているのは、観客を盛り上げて熱狂させるための仕掛けなんですよね。
【日本】では
平安時代から闘牛らしきものが行われていました。
昔は役牛として農耕用や荷運びとして、牛が飼われていました。
その中にオス牛が集まると、群れの中でリーダーを決めようとツノを突きあって優劣を競い始めます。
一歩も引かずに1番強かったものが、群れの先頭に立つことになります。
この牛たちの自然な行動が、人々の見世物として闘牛という催しに変化していったようです。
島根県 隠岐の島では配流にされた、第82代天皇(後鳥羽天皇)を楽しませるための娯楽として、闘牛が始まったとされています。
隠岐島以外にも全国に6箇所ほど闘牛が盛んな地域があります。
闘牛の開催場所を紹介
・岩手県 久慈市
・新潟県 二十村郷
・島根県 隠岐の島町
・愛媛県 宇和島市
・鹿児島県 徳之島
・沖縄県 沖縄本島
「え、こんなにあるの!?」と知らない方なら驚かれたことと思います。
今も伝統そのままに継承している地域が多く、神聖な儀式や見世物として執り行われています。
闘牛は厳選されたトップアスリート
スペインと日本では、どちらも闘牛として選ばれた牛たちは強者のアスリートが集まっています。
トラックがぶつかる時と同じくらい衝撃がある、と言われるほど、牛の巨体は大きくて頑丈です。
まともにぶつかれば、怪我だけでは済まないかもしれません。
【スペイン】では
牛と人間とが命がけでおこなうため、闘牛(トロ)を華麗にあやつる闘牛士(マタドール)は、観客からするとヒーローに値します。
会場では大声援で迎えらます。
スペイン以外でも、フランス南部やポルトガルでも、一部の地域で現在も観戦することができますが、近年は開催できる場所は限りなく少なくなってきました。
闘牛場の数が減少した理由として、国民的スポーツの人気がサッカーに移り昔ほど興味をなくしてしまったことや、闘牛を絶命させるまで終わらないルールにあります。
徐々に弱らせながら生き絶える様子が、動物愛護の観点から廃止する地域が増えたことが、決定的な要因と言われています。
同じ闘牛でも
【日本】では
牛と牛とのぶつかり合い。地域によっては「牛突き」や「牛相撲」と呼ばれています。
相手の気迫に押されてしまったり、背を向けて逃げ出したほうが負けとなります。
牛たちに勝敗をつける場所があるなか、岩手や新潟では、あえて引き分けにして試合を終わらせています。
なぜ、引き分けにするのかというと、祭事での取り組みという意味合いのほか、一度負けてしまった闘牛の中には
恐怖心がついてしまい、二度と土俵を踏めなくなるものもいるそうです。
若いオス牛が闘牛としてデビューするには、早くて2年から3年近くはかかります。
訓練を積ませて長く活躍してもらいながら、伝統儀式として闘牛を継承する必要があります。
そのために
闘牛の扱いに慣れている勢子(せこ)と呼ばれる、地元の生産者たちが演目を盛り上げながら、あえて勝負がつく
ギリギリのところで両者を引き離します。
とはいっても、その闘いぶりは生半可なものではなく、
睨みのきいたド迫力!
目を真っ赤にして、興奮が最高潮の牛同士を引き離すのは、熟練した牛飼いの成せる技なのだと感じます。
真剣勝負を目の前に、観客の皆さんも思わず身を乗り出して応援しています。
闘牛の相撲と同じように“番付け”によってランキングが決まっています。
ランキングの低い「前頭」は体重300キロくらいの若牛ですが
「横綱」にもなると重量1000kg年齢も10歳越えの闘牛たちが名を連ねています。
1トンと1トンの闘い
まさに名勝負の連続です。
実際にその凄まじい光景を見た感想は、日本国技である相撲と同じくらい、勝負の裏にある伝統儀式の継承という神聖なものを感じました。
闘牛はスペインと日本で品種が違う
闘牛に選ばれる雄牛たちは品種が決まっています。
血統の違いによって体格が大きく育つ牛や、負けん気が強い牛など傾向が分かれます。
【スペイン】では
モルーチョ/ムルシアン
スペイン南部地中海沿岸地方で育てられている在来種になります。大型で気性が荒く、立派な角が特徴的。
実際に闘牛場に勇ましく登場するのは、体重500kgもある5歳くらいのオス牛です。
【日本】では
短角和牛や黒毛和牛
闘牛として必要な足腰の強さや内に秘める闘争心が備わっています。
気づいた方もいると思いますが、日本の闘牛は和牛なんです。
(一部、ホルスタインなど別種も交配させているようですが、ほとんどが短角牛や黒毛和牛です。)
私たちに馴染みのある和牛は、霜降りで高級なイメージがありますが、闘牛として選ばれたオスたちは筋肉質で貫禄があります。
日本は和牛の最強軍団
現在の畜産業界において、母牛からオスとして生まれた仔牛のほとんどが去勢してから肉用牛として飼育されています。
オスのまま飼育するには、気性が荒く繁殖期には手がつけられないほど危険な場合もあるからです。
女性の生産者でも扱いやすい、メス牛やオスでも去勢牛の方が、性格が穏やかで育てやすいのと、脂肪が乗りやすいために
そうしています。
男性がこれを聞くと何とも過酷な話だと思われるかもしれませんが、オス牛のたどる道は3つあります。
1>血統の良いものは種牛となる。
2>体格や角の形状が良いものは闘牛となる
3>その他は去勢して肉用牛となる。
割合にすると
0.1%:0.1%:99.8%
本当にごくごく少ない頭数だけが、種牛や闘牛として育てられていることがわかると思います。選ばれた闘牛は、各地で横綱を目指してトレーニングを積んで強く成長していくのです。
和牛の中でも最強と言われているのは、東北で多く生産されている短角和牛です。
その昔、塩を背負って山々を歩き通した頑丈な体格と、不屈の精神力が現在にも引き継がれ、全国にいる多くの闘牛ファンから支持されています。
岩手県久慈市では、若牛のお披露目会が定期的に開催され、素質のある牛たちがはるばる、沖縄にまで引き取られて行くほどです。
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闘牛肉はパワー食材!
【スペイン】では素晴らしい演技をした闘牛士(マタドール)には、称号として闘牛(トロ)の耳が与えられます。
立派に闘った牛の角は剥製のお土産品としても売られています。
そのほかの肉の部分も無駄にすることはなく、
闘牛場には解体場が併設されていて、近くのレストランや市場で提供されています。
マドリードのラス・ベンタス闘牛場のすぐ側にあるレストランでは、午後7時から始まった闘牛の演目が2時間ほどで終わる頃には店内は大盛況。
まだ興奮の続いている闘牛観戦に来た人々でいっぱいになります。
そこでは闘牛肉のテール(尾)を煮込んだ。濃厚な一皿が名物料理として親しまれています。
その他にも、スペインナバーラ州では7月に牛たちが街中に放たれる、「牛追い」というお祭りがあります。
この催事ごとに登場するのも闘牛のオス牛たちです。
猛進してくる牛の目前を大勢の人が全力で走るという、日本では考えられない伝統儀式、毎年けが人が出るほど危険な祭事ごとにもかかわらず、大勢の人が集まってきます。
7月に出場するための闘牛たちが現地でたくさん育てられていますが、そのオス牛たちもシーズン以外になると地元のレストランで提供されています。
闘牛はたくましい体格からも想像できるように、肉質がしっかりしているため現地では、煮込み料理が定番のようです。
闘牛は味も最強と言われるのは本当?
じつは【日本】でも・・・こっそり流通されているのを、知っている方はまだほとんどいません。
あなたは食べたことありますか?
「食べたことがある!」という方は、かなりの”通”かと思われます。闘牛を観戦した後に牛を食べるのを、想像すると残酷と思われるかもしれません。
競馬の馬主のように、闘牛にもそれぞれ牛主さんたちがいて、特別な思いを持って育てられている牛たちです。
通常は2年ほどで肉用牛となり、一般に出回っている牛たちがほとんどの中、闘牛は基本的には善戦している限りは、寿命である10〜15歳まで活躍するものもいます。
ですが、怪我や負けが続いたり、いろいろな理由で引退していく闘牛は、廃牛せざるおえなくなります。
今までの敬意と感謝を込めて加工して地元の人たちに配られたり、競り場へ運ばれて、料理人たちの元へ流通されていきます。
闘牛のステーキを食べてみた
先日、闘牛ステーキを食べる機会があり、東京の赤坂にあるステーキレストランに行ってきました。
闘牛肉はサーロインなのに、見るからに脂身が少なく赤身主体です。
“和牛”と聞くとつい、霜降りで柔らかくとろけるお肉を想像してしまいますが、まさに鍛え抜かれたアスリートの肉質です。
一般に出回っている和牛や国産牛のステーキ肉は、すべてメス牛か去勢牛なのでステーキマイスターである私も、完全なオスの和牛肉を見るのは、これが初めてになります。
トップ0.1%に選ばれて、鍛えられた闘牛ステーキ!ともなるとフツフツとパワーが込み上げてきます。
口に入れた瞬間
「オ、オイシイ・・・」
肉本来の旨味が口の中にあふれ出します。伝統儀式を受け継ぐ地域の人々が育てる闘牛には、ガツン!と魂のこもった熱い味わいがありました。
まとめ
闘牛を食すことは機会がないと食べれませんが、もし闘牛の肉がメニューにあったら迷わず注文することをススメます。
オスの牛肉を食べることが少なく、コレが本当の牛の味わいなんだ!と感動するともいます。
ただ、柔らかい肉を好む方には向かない赤身肉ですね。
赤身肉の旨さを知っていて、さらに希少な肉を求められるなら闘牛肉は間違いなく食べて欲しい肉です。
最後までお読みいただきありがとうございました。