【実践編】和牛赤身肉100%(短角牛)の赤ワイン煮は美味しいのか?

和牛赤身肉専門の肉エビスです。

 

寒くなると必ず食べたくなる料理のひとつに「煮込み料理」があります。

煮込み料理と一言で言っても多種多様なやり方や捉え方があるため、どの方法で作られた
煮込み料理が美味しいのか判断が難しいと思います。

 

当店でも煮込み料理を作ることがあります。

 

その中でも人気が高い煮込み料理「赤ワイン煮こみ」です。

 

実は赤ワイン煮込みといっても、お店によって作り方やコダワリが全く違います。

 

あるお店の煮込み料理は煮込んだその日に、メニューに載せて提供していますし。


またある有名店では、ジックリ1週間ほど時間をかけて煮込んだ料理もあります。

 

そして赤ワインを使う量や種類も様々です。

 

一般的に言われていることは

赤身肉の煮込み料理へのこだわり

「煮込み料理は赤ワインに最低でも1晩はつけておきなさい」

「その煮汁を使って赤ワイン煮を作るのが本家の赤ワイン煮込みだ!」

こんなことを主張するお店もあります。

 

これから解説する煮込み料理は、短角牛という赤身の強い和牛を使った赤ワイン煮込みです。

 

赤身肉というとに火を入れすぎてしまうと固くなるイメージがあります。

 

しかし、赤ワイン煮込みにすることで肉やワインのコクを凝縮した料理になるんですよね。

 

このページでは
【実践編】和牛赤身肉100%(短角牛)の赤ワイン煮は美味しいのか?
こんな内容の解説をすると共に、肉好きの方の為に作り方も公開していきます。

 

短角牛はとても美味しく、煮込み料理向きの肉です。

 

ぜひ、手作りをしてこの赤身肉の旨さを体験してくださいね!

煮込みのコツは汁気にある

煮込み料理と一言にいっても、いろんな作り方があります。美味しいと言われる煮込み料理の共通点があり、それは汁(ソース)にあります。

 

煮込み料理の極意は、いかにソースと肉に旨味をプラスできるか?なのですよね。

 

例えば。

 

このあとご紹介する「赤身肉100%の赤ワイン煮込み」を作る場合は、和牛赤身肉自体(短角牛)には、脂分が殆どと言っていいほどないので、少量の赤ワインとフォンドボーで煮込みをつくるようなことはしません。

 

たっぷりの赤ワインと旨味を蓄えている、野菜類濃いめのフォンドボーを加えて、汁気をわざと多めにして煮込みます。

 

“ビーフシチュー”を思い浮かべていただくと想像しやすいでしょう。

 

この方法は、パリのビストロを友人がシェフをしていたときに教わった方法です。

 

だから一応、フランス人直伝の方法なのかもしれませんね。

 

この煮込みの最大の特徴は、赤身肉を2日かけて赤ワインに漬けておくこと、それと粉をつけて、こんがりと焼き色をつけてからたっぷりの煮汁で煮ることです。

 

この方法を専門用語(フランス語)でラグー(Ragoût)といいます。

 

イタリア料理でパスタに良く合わせる“ラグーソース”と同じように、一度煮込み料理を作りそのあとにソースとして別に仕上げていきます。

 

この料理を派生させて、オリジナルメニューを作ると料理を作る楽しみや、食べる楽しみが増えそうですね。

完成までの所要日数は5日間

作り方を説明します。

 

はじめになぜ、ここまでの時間をかけて作っているのか?ですが。

 

短角和牛の赤身肉は肉質の密度が高く、他のお肉よりも弾力もしっかりしています。

 


脂身のある牛肉ならすぐに柔らかくなりますが、赤身を多く含んでいるので、従来の方法で煮込んでも肉が柔らかくなりづらいです。

 

そこで、赤ワインに漬け込む時間を倍にして、煮込みが終わったら煮汁の中に漬け込んで
予熱で柔らかくするなど、表では知ることのない細かいテクニックを駆使して仕上げています。

 

煮込んだ煮汁を煮詰めるだけでも、十分美味しいとは思います。

 

ですが、別に再度。新しい赤ワインを煮詰めて旨味をプラスしたソースを作り、その中でジックリ煮含めてから仕上げています。

 

気が遠くなりそうなくらい“手間ヒマ”をかけていますが、それに見合った美味しさは保証します。

 

この煮込み料理を一度食べたら、他のお店の煮込み料理では物足りないくらい「重厚な赤ワイン煮」です。

作り方

1、肉を準備する

煮込む時間を考慮して、できるだけ塊の短角牛赤身肉を用意したほうがいいでしょう。

 

もし小さい肉だけで煮込みを作ろうとしても、長時間煮込むことに対して肉が耐えられません。


肉の繊維が熱によってボソボソになってソースに溶け込んでしまいます。

 

逆に煮込み時間を短縮してしまうと、十分な赤身肉に旨味がのっていない料理となってしまいます。

 

なので、できるだけ塊の状態で煮込んだほうがいいといえるでしょう。

2、野菜類を準備する

使う野菜は玉ねぎ、人参などの香味野菜です。

 

これらの野菜もできるだけ大きくカットして、煮込んでいる間に溶けてしまわないようにしましょう。

 

目安として、玉ねぎは4カット、人参は8カットくらいが良いと思います。

 

3、たっぷりの赤ワインに漬け込む

僕がフランスで教わったワインはアルザスのピノ・ノアールでした。


しかし、日本では手に入りづらいことと、かなりの高額になってしまうので、チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンで代用しました。

 

チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンはタンニンが多いです。

 

個人的には煮込み料理に向いていると思います。

 

赤ワインに漬けるときの注意点があるとすれば、使用する赤ワインはケチらないこと!

 

十分な量の赤ワインに漬け込んできこそ、美味しい赤ワイン煮ができます。

 

これを2日間かけて漬け込みます。

 

途中で上下を入れ替えるなど工夫をしています。

 

4、肉と漬汁そして野菜に分けます。

ここでよく水分を切っておかないと、この後の工程である肉を焼く作業ができないので、十分水気を切っておいてください。

 

5、肉に味をして粉をふりかけて焼く


よく水気を切った和牛赤身肉に軽く
塩コショウをして粉をまぶしてから
香ばしく焼きます。

 

必要以上に焦がさない方がよいでしょうね。

 

それと同時に別の鍋で野菜類を炒めておきます。

最後にトマトペーストを加えます。

 

6、赤ワインを入れて煮詰める


新たに赤ワインを加えてアルコール分を飛ばしましょう。

 

十分アルコール分が飛んだらつけ汁を加えて煮詰め、他の材料をすべて入れて最後にフォンドボーを加えて一度沸騰させましょう。

 

よく灰汁をすくってから蓋をします。

 

7、180℃のオーブンで煮込む


必ず沸騰した状態を保つような温度で、コトコトと煮込んでください。

このときは和牛赤身肉(短角牛)が、柔らかくなるまで8時間煮込みました。

 

もう少し小さい赤身肉ならば、もう少し込む時間が短いかもしれません。

8、肉を優しく取り出し煮汁と浸ける


熱い状態に肉を取り出すと、折角柔らかく煮込んだ赤身肉が固く固まってしまいます。

それを防ぐために、煮汁のなかでゆっくりと温度を下げていきます。

 

このようにすることで、温度が下がると一緒に、柔らかくした肉の繊維の中まで煮汁が浸透していきます。

この状態で最低1日間休ませます。

 

9、肉と煮汁に分けておく

この状態で煮込み料理として提供しているお店もありますが、そのようなことはせずさらに旨味をプラスしていきます。

 

そのために、煮上がった和牛赤身肉(短角牛)と煮汁を分ける必要があります。

 

煮汁は一度鍋で温めて脂があれば取り除いておきます。

10、ソースを作ります。

今回は赤ワインと赤身肉の相性を楽しんで欲しいので、赤ワインを多めのソースにします。

 

ソースの作り方は以下になります。

 

1)鍋に砂糖を溶かし軽く焦がします。


2)焦げすぎる前に赤ワインビネガーを加えて煮詰めてから、前日に脂などを取り除いた煮汁、足らなければフォンドボーを加えます。

 

3)そのまま煮詰めていき、適当な濃度になったところで細かめの裏ごしでソースを濾します。

11、仕上げ

いよいよ仕上げです。

 

煮上がっている短角牛とソースを鍋に一緒にいれて、蓋をしてゆっくりと煮上げます。

 

肉の柔らかさが戻ったら、肉だけ取り出し残ったソースを煮詰めます。

 

このときバターを加えて煮詰めましょう。

 

お皿に和牛赤身肉の赤ワイン煮込みをおいて、上からソースをたっぷり掛けて、上から黒胡椒を振りできあがりです。

 

どっしりとした赤ワインに絶妙に合う煮込み料理

この赤ワイン煮の写真をご覧いただくだけで、想像ができると思いますが、かなり濃厚です。

 

旨味が多く含まれているソースに合わせるワインは、ピノ・ノアールのようなワインは余り合わないでしょう。

赤身肉によく合う赤ワインたち
赤身肉によく合う赤ワインたち

オススメはカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーやメルローなどの、重厚感のある赤ワインと絶妙にあうと思います。

 

寒い時期に食べるからこそ、赤ワインと煮込みの組み合わせを、いつも以上に美味しく感じます。

 

この方法を他の外国産の赤身肉に変えて作れますが、何か物足りなさを感じると思います。

 

その場合はなにか旨味をプラスしてみてください。

 

短角牛は赤身に味があり、煮込み料理にしても個性を損ないません。

 

ステーキに使う以外だと煮込み料理は相性がいい肉だと思います。