赤身肉専門クニオミです。
赤身肉と聞いてヘルシー、肉の味が濃い
食べごたえがある・・・など想像すると
思います。
牛肉だけが赤身肉の代表のような
位置づけですが、他にも赤身で
ヘルシーな美味しい肉があります。
ラム肉と聞いてどんな肉の味を
思い出すでしょうか?
ラム肉は好き嫌いがハッキリ分かれる肉ですが
健康ブームということもあり注目されている赤身です。
しかも、調理方法を間違えなければ
激ウマの肉なんです。
同じラム肉でもグラスフェッドで育てたラムは
赤みが強く甘みも濃いと言われています。
このページでは『赤身肉=牛肉』以外でも
美味しい肉があるんだよ。
ということを解説します。
グラスフェッドの意味
始めにグラスフェッドの意味を解説します。
グラスフェッドとは
「grass=牧草、fed=食物(飼料)」
を与えて育った動物のことです。
牛、羊、馬、山羊・・・など
草を食べる動物はグラスフェッドで
育ちます。
でもそれは野生で育っていれば
自然にそうなるだけで実際は人間が古来より
飼っている動物はそうもいきません。
なぜ、本来は草を食べる反芻動物なのに
草を食べさせないで飼育するのでしょう。
それは私たちが本来の姿で牛などを育てると
コストや手間、管理などが難しくなるからです。
この話は奥が深いので別機会に
解説をしようと思います。
ではどうして、人間が草ではなく穀物系を与えて
牛などを飼育するのかというと、グラスだけで
育てると肉つきが悪くなるからです。
成長もゆっくりしたペースになります。
山に転落する事故が起こる場合もあります。
肉の味に関して言えば。
信じられないかもしれませんが、グラスだけを
食べた牛や羊の肉の味は薄くて旨味にかけます。
肉の味の強さを求めている私たちにとって
100%グラスフェッドで育てた赤身肉は
味わいに掛けてしまうのです。
そこで牛舎を作り、牛や羊などを飼い
穀物飼料を与えて育てています。
国内の牛を例に出すと
完全放牧で育てた牛は1%に満たない
と言われています。
当店で扱っている赤牛は完全放牧ではなく
親子放牧をしっかりと行ってから
牛舎に移されて大切に育てられています。
ではなぜ「グラスフェッドが注目されているのか?」
と言うと“ダイエットフード”として食べられることが
キッカケです。
詳しくはここでは触れませんが
赤身肉をメインにすることで低脂肪で低カロリー
な食事になります。
話題の“オメガ3脂肪酸”も赤身には豊富に
含まれているので、健康のために食べる方が
増えてます。
赤身肉ブームが熱を帯びて進化して
グラスフェッドにも注目が集まった
と言ってもいいかもしれません。
無農薬グラスフェッドでも激ウマな赤身肉にならない
牧草地で育てると牛や羊の肉は
赤身肉になります。(黒毛はなりません)
では
「牧草地で放牧すればすべて上質な肉になるのか?」
と言うとそんなことはありません。
グラスフェッドで飼育する難しさは
グラス(牧草)の質です。
完全無農薬で育てた赤身肉が
世間では話題をさらっていますが、
実はそんなことを気にするのは人間だけです。
牛や羊にとって無農薬のグラスかどうかは
関係ありません。
それよりも『牧草が美味しいかどうか』
のほうが牛や羊には重要なようです。
私たちは定期的に放牧地を見学しています。
現地を訪れると一番わかるのですが
牛が草を食べている姿をよく観察すると
牧草の上部しか食べていません。
草の根に近い下の部分は
固くて苦いようで牛は食べないんです。
無理に食べさせようとしても
プイっとそっぽを向かれてしまいます。
新芽や草が新しく生えた部分が
柔らかくて大好きなようです。
さらに驚いたことに栄養がなさそうな
牧草(色が薄い)などを自ら避けて
いいトコだけをムシャムシャ食べています。
山頂から牛が食べた後の放牧地を
眺めると面白いのですが、美味しい牧草が
生えている場所以外は草がタップリと
残っています。
この光景をみると気が付きますが
完全放牧で育てたグラスフェッドビーフや
グラスフェッドラムの肉が赤身で美味しいか
どうかは…
育った環境の方が大きいと
言えるでしょうね。
グラスフェッドで育てても脂は付くもの
「グラスフェッドで育てれば脂は付かずに
完全な赤身のお肉になるんですか?」
お店にご来店のお客様によく聞かれます。
赤身肉を再定義すると
『赤身が強い部位=赤身肉』
です。
例えば。
サーロインやリブロースなどの部位は
グラスフェッドで育てたと言っても
脂はあります。
グラスフェッドやグレインフェッドという言葉が
あるけれど、それは飼育方法です。
考えてほしいのですが、牛や羊だって
自分の体に油脂分がないと死んでしまいます。
必要な栄養素なんです。
人間だって同じだと思います。
いくら体に脂が良くない、
といっても脂肪分がゼロだと
「病気じゃないの、大丈夫?」
と心配になります。
見た目がガリガリで骨と皮だけでは
健康的とはいえないですよね。
それは牛や羊だって同じなのです。
グラスフェッドで育てても脂はあるものです。
ほかの飼育方法(グレインフェッド)で
育てるよりは脂肪分が少ないです。
だからといって肉の味に
比例するかどうかは別です。
個人的に思うのは赤身肉に
脂を求めないなら育て方と部位、
この2つを気にするべきですね。
ラム肉は牛肉よりもヘルシー
ラム肉と牛肉どちらがお好きですか?
以前に比べて取り扱うお店が増えたので
だいぶ、日本人もラム肉を好きな方が
増えたように感じます。
同じ赤身肉でもラム肉と牛肉では
ラム肉の方がヘルシーなんですよ。
大きな特徴としてラム肉は『L−カルニチン』
が牛肉よりも多く含まれています。
カルニチンの特徴として脂肪燃焼しやすくする
ことが挙げられます。
肉を食べることは高カロリーのように
思われていますが、それは霜降り肉などの
“脂肪を多く含んだ肉”を食べるからです。
ラム肉は元々脂肪分が少ない上に
良質な赤身です。(部位によります)
牛肉100gあたりのカロリーが約298kcalに対して
ラム肉は同じ100gの肉で約227kcalです。
以上のことを踏まえて言えることは
ラム肉こそヘルシーだということです。
ヘルシーだと味気ないという意見も
有ると思います。
次章で食べ方をご紹介するので
楽しみにお読みください。
ラム肉の臭いは焼き方で変わる
ラム肉の焼けた肉が苦手という方に
「どうしてなの?」
と聞くと
「肉の匂いがちょっと・・苦手で・・」
という人がいます。
ラム肉が好きな人からすれば
あの香りが最高に食欲をそそるのですが
コレばかりは好みなので仕方ありません。
知ってましたか?
ラム肉特有の香りは肉よりも
脂のほうが強いってね。
そうなんです。
ラム肉の赤身だけを食べると分かりますが
肉自体の匂いはそれほどキツくありません。
(マトンは違います。)
もしこのページをお読みで赤身肉が
お好きならば脂を取り除いてから
食べてみてください。
ヘルシーで美味しい肉へと激変します。
それともう一つ。
ラム肉の脂を溶かしながら焼くと
それほど特有の匂いを感じなくなります。
要は焼き方で決まるってことです。
下手な人がラム肉を焼くと脂を外に
出さないで焼くから余計に肉が
臭くなるんです。
焼き方が上手な人は脂の特性を
理解してるので同じ仔羊肉(ラム)を
焼いても全く脂臭さは感じません。
グラスフェッドで育てたラム肉を美味しくする料理を2つ紹介
始めに話すと、世の中に出回っているラム肉は全て
グラスフェッドで育てたラム肉だけではありません。
冒頭で解説しましたが、グラスだけだと
肉に味がのらないのでグレイン(穀物)も
混ぜて育てています。
アメリカ産のラム肉はほとんど放牧をしないで
育てているラムもあります。
(サシが入っているので美味しいです)
あくまでも好みの問題とは思いますが
このページではグラスフェッドで育てたラム肉を
美味しく食べる調理方法を2つご紹介します。
ローストにする
ラム肉はスライスしてジンギスカン鍋にして
食べるより。
できるだけ大きな塊肉をローストして
食べたほうが断然に旨いです。
肉の味をストレートに感じるのと
タレに頼らないのでヘルシーで肉のパワーを
ダイレクトに感じます。
ローストするならは適した部位選びが必要です。
オススメの部位はモモ肉、背肉、リブ。
赤身肉マニアの人は前足のローストも
美味しいです。
南フランスでは仔羊肉をローストして
白いんげん豆をあわせる料理があります。
タイムとかローズマリー、ニンニクを
効かせているのでペロッと食べれます。
ローストするときの注意点は
ラム肉の脂がある場合は
必ず脂側から焼くことです。
脂から焼くことで肉に直接火が入ることを
防ぎます。
そして脂が溶けて特有の匂いが適度に
抜けていきます。
香ばしい香りへと変化していきます。
ローストでこの作業を怠ると、どんなに素晴らしい
ラム肉を手に入れたとしても美味しく仕上がりません。
そして火入れはレアではなくミディアムまたは
ミディアムウェルくらいを目指すといいでしょう。
ラム肉をレアで出すお店がありますが
ラム肉の美味しさがでてくる火入れは
ミディアムくらいからです。
もしくはフランス語で“ビアンロゼ”と言われる
火入れがいいでしょう。
ビアンロゼとはほど良いピンク色の火入れです。
ミディアムレアのミディアム寄りですね。
慣れないうちはミディアムレアは難しいので
レアに近いミディアムの焼き上がりを意識すれば
いいでしょう。
煮込み料理にする
ラム肉は牛肉と違い肉の味が濃いので
煮込み料理にしても美味しいです。
仕上がる味わいが同じ赤身の牛肉とは
違った味になります。
ワインと一緒に食べると美味しいです。
オススメのラム肉の煮込み料理があります。
ナバランという料理です。
フランスでは春になると仔羊をよく
食べる習慣があります。
柔らかい部位はローストにして
硬い部位は煮込み料理にして食べます。
ナバランはトマトをベースにして
あっさりとした煮込み料理です。
使う部位は肩肉やクビ肉、スネ肉です。
これらの部位は旨味が濃く煮込み料理にすると
トロリとした肉のゼラチンもでてくるので絶品です。
グラスフェッド・ラムの煮込みだと
肉の脂が足らないかもしれないので
野菜を多く入れたりして旨味を補ったほうが
いいかもしれません。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
ラム肉を食べたい人へ。牛肉と同じように赤身が旨いラム肉も食べよう
ここまでお読みになり、きっとラム肉を
食べたくなったと思います。
ラム肉は料理のヤリ方や火入れ次第で
牛肉よりも美味しくなる食材です。
日本ではラム肉の地位はあまり高くないですが
肉を多く食すフランスでは牛肉よりもラム肉の方を
好んで食べています。
特に仔羊肉(ラム肉)の中でも
乳飲み仔羊(アニュー・ド・レ)は
最高級の食材として有名です。
『肉の貴公子』の名前で呼ばれるほど
高級レストランから大衆的なブラッスリーまで
どこにでもメニューにあります。
ラム肉がないとお客様に怒られるくらい
人気がある肉です。
日本でラム肉が苦手な方が多いのは
白いご飯には合わないからだと思います。
焼肉のタレにつけて食べても正直…。
ラム肉じゃなくて、どんなに美味しい
赤身肉でもタレの味しかしないです。
これでは肉の良さも無くなると思います。
肉が可哀想です。
ラム肉はワインなど香りがあるお酒と
合わせると美味しくなるのでオススメです。
赤身肉が好きなら牛肉の赤身もいいんですが
ラム肉も食べてみてはいかがでしょうか。
きっとラム肉の魅力に赤身肉好きなあなたは
ハマること間違いないと思います。
最後までお読みいただいき
ありがとうございました。