当店でお出ししている和牛赤身肉を食べたお客様から

「肉に臭みがなくて味が濃かったです!」
「牧草のいい香りがするのはなぜだろう?」
「今まで苦手だった牛肉なのに最後まで美味しく食べれました」

というようなご感想をいただいています。

同じようなお声はアンケートのご記入にもありますが牛肉の匂いについては
特に女性のお客様から多くのご意見を頂戴してきました。

じつは男性よりも女性の方が嗅覚が鋭いと言われています。

古来より男性はたくましく、海や山へ狩りをしに出かけていきますが
女性は家で食事を作り家族みんなの体調管理を任されていたことから
繊細な匂いや風味に敏感です。

医学的な嗅覚の数値に男女差はないものの、
間違って傷んだ食材を調理しないよう嗅覚で見分ける
防衛本能が備わっているのかもしれません。

とは言ってもなんでもかんでも食べる前に匂いを嗅ぐのは
やりすぎでも、あなたはステーキを口に頬張った時に感じる
牛肉の匂いまで気にされたことはありますか?

「噛みしめるたびに鼻から抜ける香りまで美味しい!」

と納得される方の多い赤毛和牛は臭みがなく香りがいいと評判です。

一度食べるとクセになる和牛赤身肉の秘密

和牛赤身肉として都内にある恵比寿に訪れ当店まで届けられる熊本県産の赤牛は
毎日いったい何を食べて大きく成長しているのか?

人間が食べるものによって身体に何らかの影響を与えているように

牛にとってもそれは同じことだと私たちは考えます。

きっと極上和牛だからこそ毎日特別な飼料を食べているに違いありません。

〜肉の旨味といい香りの秘密について〜

熊本県阿蘇で暮らす赤毛和牛の生産者さんのところへ
思い切ってお話をお伺いしてきました。

日本国内には牛を育てる生産者さんは大勢いらっしゃいますが、
牛が食べている飼料は農家さんによって細かい決まりがないそうです。

そのため牛の品種や個体差、飼育環境に合わせて天然飼料や粗飼料、
牧草の配合など…組み合わせはざまざまな種類が豊富にあります。

阿蘇の広い牧場で自由に暮らす赤毛和牛

訪れたのは新緑の眩しい7月。

この時期が一番、牧草がみずみずしく赤牛の食欲も旺盛になるそうです。

阿蘇では夏山冬里という飼育法で、涼しくなる秋頃までは
牧場を自由に歩き回って草をお腹いっぱい食べることができます。

熊本県 阿蘇 赤牛 あか毛和牛 放牧
(7〜8頭ほどでグループを作り行動している赤牛)

放牧されているのは春に産まれた仔牛を連れている
母牛のほか妊活中のメス牛に限られています。

気性の優しいことで知られている赤牛はゆっくりと牧場を
移動しながら日が暮れるまで多いときには8Kg以上もの草を食べるそうです。

赤牛が美味しそうに食べている牧草

恵比寿でも道路脇で見かけるような緑草。


この小さな花も好物なのだそう。

さぞかし、もっと特別な牧草だろうとイメージしていたのですが
このような植物をとっても美味しそうに食べている姿はなんとも微笑ましい光景。

ですが赤牛たちが、大キライな草があるそうなんです。

「じつはみんなが避けて通る草があるんですよ」

そう笑いながら生産者さんが私たちに教えてくれました。

牧場にいる100頭ほどの赤牛が
こぞって食べない草はいったい何でしょうか?

<ヒント>
アクが強く調理するには少し手間がかかりますが
エグミがたまらない春を代表する山菜。

なんだか分かりますか

 

答えは「わらび」

牧場にわらびだけが毎日、キレイに点々と残されているそうです。

美味しい草だけをお腹いっぱい食べることができる阿蘇の赤牛たち
恵まれた自然環境の中でのびのびと暮らしています。


(近寄ると赤牛から駆け寄ってきます)

熊本県にある阿蘇は標高のある場所に
草原が波状に幾重にも連なっている美しい観光名所。

この美しい景観を守るためには1000年以上も前から野焼きという
作業が繰り返し行われてきました。

雪が溶ける2月ごろになると草原を全て焼き払ってしまいます。

真っ黒に焦がされ、あたり一面見るも寂しい光景になりますが
害虫駆除のほか新芽が春に向けてたくましく育つことができる
先人から受け継がれてきた伝統儀式です。

雪が降るこの地域では、秋頃から草原が復活する4月初旬まで
赤牛たちを山から下ろして牛舎の中で世話をします。それ以外にも
出産前後の赤牛は牛舎に置いて様子を見守ります。

山では天然の牧草が豊富にありますが
牛舎にいる間、牛たちは何を食べているのでしょうか?

牛舎でのモーニング


(明朝6時過ぎ、朝ごはんの様子)

その日私たちは牛舎にいる赤牛のもとへ
飼料をあげにいく作業に同行させてもらうことができました。

生産者さんが柵に近づくと、お腹を空かせた赤牛たちが合唱団のように、
いっせいに鳴き声をあげ始めます。

そして私たちが驚いたのは牛舎いっぱいに充満している香ばしい匂い。

こちらの農家さんではナント!

「きな粉を入れているのはこの辺じゃあウチだけですよ」と快く教えて
くださった飼料の中身はきな粉のほかにトウモロコシ、麦、トウキビ…などを
調合されているそうです。

この組み合わせは各農家さんによってさまざまです。

牛を育てるうえで肉質に影響するため最も重要な工程になります。

こちらの牛舎での赤毛和牛たちが食べている朝ご飯は何とも香ばしく
思わず口に入れたくなるほど美味しそうな風味がしていました。

ですがこれら粗飼料の他、最後には干し草をたっぷり与えて、
胃の循環を良くしてあげるそうです。


(みんなで飼育体験)

長く太い牛舌を巻きつけて食欲旺盛な赤牛たち!

生産者さんは1頭ごとに気を配り飼料の配合や体調管理をされています。

「毎日の食事が未来の健康状態を左右する」
というお話は牛だけでなく私たちもまったく同じ感覚として

野菜不足だと肌が乾燥したり炭水化物ばかり食べていると疲れやすかったり
身体からのシグナルは誰しも経験があることと思います。

こちらの牛舎では糞尿の匂いもまったく気になりませんでした。
毛並みも良く、牛舌でベロっと舐められても唾液がサラサラ。

これはきっと体内環境が整っている証拠なのではないでしょうか。

それにより、香りが良く肉本来の味わいがする赤毛和牛。

東京都内、恵比寿で赤牛が食べれるレストランはまだまだ少ないです。

たくさん食べても胃がムカムカせず旨味の濃い赤身肉なのは
シンプルに環境に合わせた飼育法をされている生産者さんたちの
努力の賜物だと感じました。

 

赤身肉と合わせる塩選びのコツ